脚注
(注)1府9県5市町村の15自治体で災害協定を締結(2021年5月時点)
約90秒で即ふくらむ浸水対策用「吸水土のう」の開発
萩原工業株式会社
掲載日 | 2021年10月8日 |
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適応分野 | 自然災害・沿岸域 |
会社概要
萩原工業株式会社は、ポリエチレン、ポリプロピレンのフィルムをスリットし、延伸することで作られる強く平らな糸「フラットヤーン」づくりの技術を磨き、「切る、伸ばす、巻く、織る」を中核技術として歩んできた。萩原工業の製品は、建築・土木、農業、印刷、レジャーなど、幅広いジャンルで利用されている。自社開発した製造設備は飛躍的に進化を遂げ、その工学技術はエンジニアリング事業に引き継がれ、スリッターやワインダーの製造に活かされている。
気候変動による影響
近年日本では、豪雨や台風による災害が各地へ深刻な被害をもたらしている。日本各地の自治体では、養生シートや土のうを備蓄する動きが広がっており防災意識が高まっていることがうかがえる。
大雨や洪水の浸水対策に使用する一般的な土のうは、土を充てんして使用するが、いざという時の「時間がない」、充てんの「労力がない」、都心部や市街地では「土がない」などの課題がある。
適応に関する取り組み
萩原工業株式会社は、高性能新型土のう「ウォーターバスター」の発売を2021年6月より開始した。本製品は、水に浸して90秒間揉みこむだけで、袋内のポリマー素材が水を吸い、重量10kgの土のうとして機能する。また、使用前は100gと軽量かつコンパクトな形状で保存場所も要しないといった利点もある。なお、この「ウォーターバスター」は以下の3つのステップで膨らませることが可能である(図1)。
- ①水道水や河川水などの淡水を入れたトレイやバケツに「ウォーターバスター」を浸す。
- ②水に浸しながらよく揉みこむ。「ウォーターバスター」が浮いてくる場合には、しっかり沈める。
- ③水に浸してから約90秒で「吸水土のう」が完成する。
膨らませた「ウォーターバスター」のサイズは、幅52cm、高さ14cmとなる。
当社では、災害対策への体制を整えるため各自治体との連携を図っている(注)。
効果/期待される効果等
膨らませた「ウォーターバスター」は、大雨や洪水による浸水対策として自宅の玄関前や地下鉄の入り口などに活用できる。さらにブルーシートで覆うことで土のうのわずかな隙間からの浸水を防ぐことも可能である(図2、図3)。
「ウォーターバスター」のような使いやすく、効果の高い防災製品の導入により、緊急時に命を守る行動を最優先にとることを可能とし、災害被害の軽減が期待される。