「気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)」は、気候変動による悪影響をできるだけ抑制・回避し、また正の影響を活用した社会構築を目指す施策(気候変動適応策、以下「適応策」という)を進めるために参考となる情報を、分かりやすく発信するための情報基盤です。

高効率な冷却除湿器「ナチュラルコンデンサー SP-6000」の開発

クラフトワーク株式会社

業種:製造業、建設業
掲載日 2022年1月11日
適応分野 健康 / 国民生活・都市生活

会社概要

クラフトワーク株式会社

クラフトワーク株式会社は、地中熱や水熱・排熱などを利用した未利用熱エネルギー、利用システムの設計・施工事業に取り組む企業である。顧客からの複雑なシステムや様々な熱利用システムを、一括で相談を受け、提案、設計、設置までを行う熱利用システムインテグレーターとして業務を行っている。

気候変動による影響

昨今の気候変動による気温上昇により、冷房設備のない工場の室内温度が40℃まで達することにより熱中症が懸念されるなど、多大な影響を及ぼしている。

適応に関する取り組み

当社は、水を熱源とする高効率な除湿型冷房装置「ナチュラルコンデンサー SP-6000」を開発した(図1)。これは、大谷地域(注1)の地下貯留水を利用する実証試験により考案された商品であり、水が供給できる場所であれば工場や農場等、広さと用途にあわせて利用可能である。また、キャスター付きで移動が簡単なことから、イベント会場や災害時等、様々な場所やシーンでも活躍する。
この商品は、熱交換器において冷水で不凍液を冷却し、冷却された不凍液でファンから吸い込んだ温風をラジエーターで除湿冷風に変える仕組みとなっている(図2)。消費電力における比較では、従来式エアコン7.5kWに対して、「ナチュラルコンデンサー SP-6000」では0.6kWと92.6%も電力を抑えることができる(注2)。また、熱源水には、井水(地下水)の他、水道水・温泉水・工場排水など様々な水源を利用できる(図3)。

効果/期待される効果等

2019年8月10日~18日、観光客が多くなるお盆期間に合わせ、大谷地域では電動車の停留所に当品を設置した(図4)。外気温35℃でも地下貯留水は約20℃と非常に冷たく、その冷水を利用してラジエータファンを通す冷たい風は観光客へ提供された。本商品の利用による「熱中症対策」が期待される。

「ナチュラルコンデンサー SP-6000」
図1 「ナチュラルコンデンサー SP-6000」
「ナチュラルコンデンサー SP-6000」の仕組み
図2 「ナチュラルコンデンサー SP-6000」の仕組み
「ナチュラルコンデンサー SP-6000」に活用できる熱源水
図3 「ナチュラルコンデンサー SP-6000」に活用できる熱源水
大谷地域での社会実験
図4 大谷地域での社会実験

脚注
(注1) 栃木県宇都宮市の北西部に位置し、「大谷石」が産出される地域。
(注2) 冷却出力:32℃の空気温→22℃+除湿
「ナチュラルコンデンサー SP-6000」の運転条件:井水15℃・25ℓ/min で除湿冷房、風量5,500㎥/h