脚注
(注1) hitoe®:東レ株式会社と日本電信電話株式会社が共同で開発。体から発している微弱な電気信号である生体信号を、無意識に近い状態で収集するための機能素材。医療機器ではない。
hitoe®暑さ対策サービス for Cloudに必要な専用ウェアは東レ株式会社と株式会社ゴールドウインの協力により提供されている。
(注2) 体内温度:頭や体幹の内部の温度。医学用語では核心温や深部温度と言われるが、本技術は医療機器・医療用プログラムではないため、体内温度という独自用語を用いている。
(注3) 体内温度変動を推定するロジック:日本電信電話株式会社と国立大学法人名古屋工業大学が共同研究で開発。人の体温調節機能、服装、活動といった要素を考慮した電磁界解析技術と熱解析技術を融合した国立大学法人名古屋工業大学独自のプログラムを応用。
(注4) アラート:温熱・運動生理学的理論に基づいて、日本電信電話株式会社・国立大学法人横浜国立大学・至学館大学・国立大学法人名古屋工業大学 の共同実験により、体内温度変動などを用いたアラート発出基準を作成。
(注5) クラウド上でリアルタイムに管理するデータ:最大約150人まで対応可能。
体内温度変動の推定技術による高度な暑さ対策
NTTテクノクロス株式会社
掲載日 | 2022年3月31日 |
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適応分野 | 健康 |
会社概要
NTTテクノクロスは、「Crossing makes the Future. まじわる力で みらいを創る」をコーポレートメッセージに掲げ、2017年に関連会社の合併および統合により創立された。NTT研究所のメディア処理技術や知的処理技術といった先端技術を軸に、国内外の優れた技術やソリューションを掛け合わせ、顧客体験価値を最大化するカスタマーエクスペリエンス事業、ビジネスのデジタル化やイノベーションを加速するデジタルトランスフォーメーション事業、ビジネスイノベーション事業などを展開している。
気候変動による影響
昨今、夏場は猛暑が続くほか、新型コロナウイルス感染対策としてのマスク着用などが熱中症の発生リスクを高めている。また夏場以外でも、工場や室内など屋内でも暑さによる体調不良の危険性があり、暑さ対策は重要になっている。一方、暑さへの慣れには個人差があるため、気温などの環境管理のみでは不十分で、体調や活動量などを含めた個人ごとの身体負担を把握する技術が求められる。
適応に関する取り組み
当社は、機能性素材「hitoe®(注1)」を活用したシャツ型センサー(図1)とスマートフォンの専用アプリケーションにより、着用者の心拍数とともに衣服内の温度と湿度を計測し、体調不良の予兆を検知するサービス「暑さ対策用サービス」を2020年8月より提供している。さらに、NTTデバイスイノベーションセンタ(以下、NTT研究所)などの新技術を活用し、新たに着用者の体内温度(注2)変動を推定できる機能を追加することにより、「hitoe®暑さ対策サービス for Cloud」として、高度な暑さ対策を可能にした。
「hitoe®暑さ対策サービス for Cloud」の要素技術の特長は以下の通りである。
(1)温熱生理学に基づいた体内温度変動の推定
NTT研究所などの独自技術である心拍数、衣服内温度・湿度から体内温度変動を推定するロジック(注3)の搭載により、シャツ型センサー着用者の体内温度変動を個人の周辺環境や衣服、活動状態を考慮しながら高精度に推定する。
(2)体調不良の予兆を遠隔からモニターで一括管理
シャツ型センサー着用者の体内温度変動や休憩目安時間などは、遠隔のモニターから一目で分かるように可視化する(図2)。
効果/期待される効果等
本サービスを活用することで、運動や作業の負荷による普段は気づきにくい体内温度の上昇を、活動を中断することなくシャツ型センサーを着用するのみで検知できる。また、専用アプリケーションから休憩目安などがアラート(注4)されることで、早い段階で体調不良のリスクに備えることが可能である。データはクラウド上でリアルタイムに管理され(注5)、管理者は着用者の状況を遠隔から確認でき、見回りに要する時間の削減や危険が発生した場合の迅速な対応が可能となる。