災害時の農村地域の電力を守る自家消費用太陽光パネルの設置

千葉エコ・エネルギー株式会社

業種:学術研究、専門・技術サービス業
掲載日 2022年4月28日
適応分野 国民生活・都市生活

会社概要

千葉エコ・エネルギー株式会社ロゴ

千葉エコ・エネルギー株式会社は、千葉大学発の環境・エネルギー系ベンチャー企業であり、エネルギー・公共政策のスペシャリストとして地域×再生可能エネルギー×次世代農業をサポートしている。特に、自社での営農型太陽光発電の運営経験やコンサルティングの実績を活かしたサポートを実施している。

気候変動による影響

気候変動により自然災害の激甚化が懸念されている。例えば、当社が拠点を置く千葉市緑区大木戸町は、令和元年房総半島台風の際に倒木被害の影響で地域全体が8日間の停電に見舞われた。当時、当社が保有する太陽光発電設備は売電用で、自立運転による電気を取り出せない設計になっており、地域住民の力になれないことを歯がゆく感じられたことで、完全自家消費型の発電設備の導入が望まれた。

適応に関する取り組み

当社は、災害時の農村地域の電力維持のために、自社が持つソーラーシェアリング(営農型太陽光発電設備)(注1)の仕組みを見直し、自家消費用のパネルを新設することで、発電した電気を定置型の蓄電池に蓄え、電動農機具や電気自動車に使用することを可能とした。また、農地の管理のための移動手段として、6 時間程度で充電ができる超小型電気自動車も導入した(図1)。さらに、地区の町内会と防災協定を締結し、有事の際には地区の避難所へ可搬式の蓄電池の他、バッテリー駆動のワークライトやラジオ等を貸し出す取組を実施している(図2)。

なお、令和元年房総半島台風の際には大手自動車メーカーの電気自動車やプラグインハイブリッド車が停電地域での電源車として大いに活躍し、「走る蓄電池」としてその有用性が実証された。

効果/期待される効果等

災害時に、化石燃料に代わり、移動手段や電源の確保といったライフラインとして機能する。また、ソーラーシェアリングから給電したEVモビリティや移動式バッテリーを日ごろから農業や地域のために活用することで、農村のBCP(注2)構築に繋がることも期待されるほか、そうした車両や機器が日常生活でも使用できることが認知されていくことで、家庭などでの導入を促し災害に強い地域作りに繋がることが期待される。

新たに導入された太陽光パネルと超小型電気自動車
図1 新たに導入された太陽光パネルと超小型電気自動車
千葉市緑区大木戸町大野町内会と災害協定調印(2020年9月)
図2 千葉市緑区大木戸町大野町内会と災害協定調印(2020年9月)

脚注
(注1)営農型太陽光発電は、太陽光を農業生産と発電とで共有する取組である。作物の販売収入に加え、売電による収入や発電電力の自家利用により、農業者の収入拡大による農業経営のさらなる規模拡大や6次産業化の推進が期待できる。
(注2) 事業継続計画。企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めて置く計画のこと。

ページトップへ