次世代型レタス生産植物工場「美里グリーンベース」

株式会社舞台ファーム

業種:農林水産業
掲載日 2022年10月26日
適応分野 農業・林業・水産業

会社概要

株式会社舞台ファームロゴ

舞台ファームは、「食と人と農業の未来のために美味しい食の安心、安全、安定を創り続ける」をVISIONに掲げ、先端テクノロジーを駆使した既存の枠組みに囚われない次世代の食料供給システムを構築し、高品質な食材の生産、食材の安全性の維持、食材の安定供給、持続可能な食材の生産を成し遂げるためにさまざまな事業に取り組んでいる。

気候変動による影響

近年、温暖化の進行や気象災害リスクの増大、また、生産者の高齢化や担い手不足が深刻化する中、消費者ニーズに即した農作物を安定的に供給できる仕組みを構築し、農業が抱える諸課題の解決を図ることが必要となっている。

適応に関する取り組み

当社は、宮城県美里町において75,550㎡の敷地に51,364㎡のオランダ式グリーンハウスである日本最大級の次世代型自動レタス工場である「美里グリーンベース」を建設した。この工場に播種から栽培までを自動化した最新鋭の水耕栽培設備のほか、生育環境を一定に保つ環境制御装置やLED設備等を設置している(図1)。
また、これまで主流であったスポンジ等を用いた水耕栽培に代わり、“土を使ったソイルブロック”を使用した「舞台ハイブリッド土耕栽培(注1、図2)」を開発し、本施設の栽培方法として取り入れている。
栽培システムには、ロボットによる定植作業、液肥や株間を11段階に分けて管理するなど、レタスの育苗から栽培までを自動化した「舞台ムービングシステム(BMS)」を導入した。品質管理についても、舞台ファームグループでは持続的な生産活動を実践する企業に与えられるGAP認証取得を個別農場ごとに進めており既にGLOBAL.G.A.P.(注2)やASIA-GAP(注3)の認証を取得しているが、美里グリーンベースにおいても令和4年10月にJ-GAP(注4)認証を取得している。また同社においてはJ-GAP指導員(注5)資格保有者が複数在籍している。

効果/期待される効果等

「舞台ハイブリッド土耕栽培」により、自然栽培や有機栽培に近い環境づくりが可能となった。生産が不安定な露地栽培や野菜の葉肉が薄く高価な旧式植物工場の課題を解決し、年間を通して高品質で安価なレタスを安定供給できる(図3)。
また、土地面積を最大限に活用する舞台ファーム独自の「舞台ムービングシステム(BMS)」により、露地栽培の約80倍もの生産効率を実現した。

美里グリーンベース圃場(左)とLED投光の様子(右)
図1 美里グリーンベース圃場(左)とLED投光の様子(右)
舞台ハイブリッド土耕栽培
図2 舞台ハイブリッド土耕栽培
露地栽培の課題を克服する新技術
図3 露地栽培の課題を克服する新技術

脚注
(注1) 土耕栽培と水耕栽培をかけ合わせた生産方法のこと。根張りがよくなることで、肉厚でたくましい野菜を生産でき、さらにスポンジなどの異物混入リスクを軽減できる他、土のリサイクルで自然環境に優しい農業を実現する。
(注2) 食品安全、労働環境、環境保全に配慮した「持続的な生産活動」を実践する優良企業に与えられる世界共通認証のこと。世界120か国以上に普及し、事実上の国際標準となっている。
(注3) GFSI(Global Food Safety Initiative)が定める食品安全、環境保全、労働安全、人権福祉、農場運営の基準を満たし、与えられる承認のこと。
(注4) J-GAP(Japan Good Agricultural Practice)は、食品安全、環境保全・人権福祉など持続可能な農場経営への取組に関し、日本の標準的な農場にとって必要十分な内容を網羅した基準を満たし、与えられる承認のこと。
(注5) J-GAPを導入しようとする農場に対して、その指導や相談に乗る指導員のこと。食品安全・労働安全・環境保全・人権福祉など持続可能な農場経営への取組みに関し、日本の標準的な農場にとって必要十分な内容を網羅している。

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