脚注
(注1) ビッグフレーム構法とは、住友林業が開発した日本初の木質梁勝ちラーメン構造である。
(注2) ビックコラムとは、BF構法の構造の基本となる、幅560mmの大断面の集成材のこと。(一般的に使われる105mm角の柱の約5倍の太さ)
(注3) メタルタッチ接合とは、柱と基礎の接合点を強く固定し引き抜きへの抵抗力を確保する緊結方法である。
(注4) 千葉県に甚大な被害をもたらした2019年の台風15号は、最大瞬間風速57.5m/秒を記録した。
(注5) 外壁への対応:壁から雨水が侵入した場合、壁の外側に貼られた「半透明高分子防水シート」の高分子吸水体が水分を吸収し、ゲル化しながら膨張して侵入口を塞ぎ、構造を守る。
床下/床上への対応:浸水時には、基礎に溜まった水を排出するためのスリーブにより、水害時初期のリカバリーを可能とする。
屋根への対応:屋根材の下の全面に高い水密性を確保するオリジナルルーフィングを敷き詰めることで、優れた耐水性を確保する。
(注6) 建物を支える骨格のこと。
(注7) ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、エネルギー消費を抑制する高断熱仕様と高効率設備による省エネ、 太陽光発電システムなどによる創エネで家庭のエネルギー収支をゼロ以下とする家のことである。
※記載情報は2022年11月現在のものです。技術改良により記載の性能値が変更となる場合があります。
最大級の大型台風にも耐える「ビッグフレーム(BF)構法」による住宅の提供
住友林業株式会社
業種:建設業
掲載日 | 2022年12月14日 |
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適応分野 | 自然災害・沿岸域 / 国民生活・都市生活 |
会社概要
住友林業株式会社は、1691年の創業以来、時代の要請に基づき、国内外における森林経営から木材・建材の流通及び製造、国内外での住宅事業、バイオマス発電事業等に事業範囲を拡げてきた。近年は、街を森にかえる「環境木化都市」実現に向けた中大規模の木造建築事業も推進している。
気候変動による影響
気候変動に進行に伴い自然災害の激甚化が予測されているなか、近年の津波や台風による大規模自然災害が実際に増加しており、経済に甚大な被害をもたらすとともに、社会及び私たちの生活を脅かす事態も発生している。
適応に関する取り組み
当社は、木質梁勝ちラーメン構造の「ビッグフレーム(BF)構法(注1、図1)」を開発した。この構法では主要構造材に「ビッグコラム(注2、図2)」を用い接合部を金属同士で緊結する「メタルタッチ接合(注3、図2)」を採用している。これにより下表に記載する機能を有することとなり、地震や強風に強い住宅の提供が可能となった。
自然の脅威 | 機能・特長 |
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地震 | 3階建ての実物大モデルでの実験において、東日本大震災クラスの地震波に耐えることを実証した。 |
火災 | 耐火性の高さから、住宅金融支援機構が定める「省令準耐火構造の住宅」に標準仕様で対応し、耐火構造にも対応可能である。 |
風や雨 |
台風性能実験では、以下の性能を実証した。
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また、断熱性の高い木を構造躯体(注6)に使うとともに、高性能の断熱材を隙間なく充填することにより、外気温の影響を抑えた省エネルギーな生活を提供し、災害時でも快適な「自宅での避難生活」を可能とする(図3)。
効果/期待される効果等
当社オリジナルの「BF構法」住宅によって、自然の脅威から居住者の安全を確保し、財産を守ることが可能となる。また、「BF構法」に加え、ZEH(注7)や、太陽光発電システム、壁掛型蓄電盤、雨水タンク等を併設することにより、日常の快適性だけでなく大規模災害が発生した場合にも、「自宅での避難生活」を快適に過ごすことが可能となる。
図1 ビッグフレーム構法
図2 ビッグコラムとメタルタッチ接合
図3 高い断熱性能による平常時(上)と非常時(下)の快適性