「高濁度原水対応型浄水装置」による良質な水の確保と安定供給

株式会社 トーケミ

業種:製造業
掲載日 2022年12月22日
適応分野 水環境・水資源

会社概要

株式会社 トーケミロゴ

株式会社 トーケミは、創業以来50余年に亘り、生命の根源である水を造ることで蓄積したノウハウを時代に対応する製品づくりに反映し、人間の汚した河川、湖沼、地下水を自然に返すこと、そして安全・安心な水を安価に準備することで、人・環境・社会の発展に寄与するべく、水処理用ろ過材の製造・販売、ケミカルポンプ及び周辺機器の製造・販売、環境保全機器の販売、各種工事設計施工を行っている。

気候変動による影響

気候変動による降雨パターンの変化により濁度の上昇や水資源の枯渇が深刻化することが懸念されている。水道設備が整備されていない途上国の地域では、水処理がされていない雨水、河川水、表流水、地下水等を生活用水として利用しており、下痢や結膜炎などの健康被害の悪化が懸念される。

適応に関する取り組み

当社は2011年にラオスに現地パートナー会社LAPON COMPANY LIMITEDと連携し、ラオス社会民主共和国ボリカムサイ県パクサン地区において「スモール・タウン水道事業向け高濁度原水対応型浄水装置 の普及・実証事業」を実施した(注1)。

本事業は、安全な水の安定供給と水道サービスの地域格差是正、及び雨天時に超高濁度となる表流水の安定的かつ安価な浄化を目的としており、当社の高濁度原水対応型浄水装置(図1)を使用することで本目的の達成を目指した。
当社の高濁度原水対応型浄水装置は、繊維ろ過(アクティファイバー)と砂ろ過システムから成り、同装置により、雨季のある地域で多くみられる濁度 1000NTU(注2)を超える河川水を、WHO の基準である 5NTU以下に浄化することが可能である。この装置は、高濁度対応の繊維ろ過技術を採用し、小規模、低コスト、設置スペースがコンパクトで工期も短縮でき、途上国での利用に適している。

本事業により、当社の高濁度対応型浄水装置(1000m3/日:約6600人相当)が導入され、パクサン市において水道水供給装置として稼働しており、ラオスにおいて、①高濁度表流水の安定的浄化、②ボリカムサイ県パクサン地区の水道普及率向上、③従来法(凝集沈殿法)に比べランニングコスト低減、④水道公社職員の浄水にかかる知識向上の成果が見込まれる(図2、図3)。

効果/期待される効果等

当社の高濁度原水対応型浄水装置は、超高濁度な水も安定的かつ効率的に浄化することが可能であり、生活水の安定供給や、水質改善による住民の健康面・衛生面の向上に貢献している。

 高濁度原水対応型浄水装置
図1 高濁度原水対応型浄水装置
セレモニーの様子
図2 セレモニーの様子
装置の試運転時に集まった地元のこどもたち
図3 装置の試運転時に集まった地元のこどもたち

脚注
(注1)当事業は、2015年~2018 年に独立行政法人国際協力機構(JICA)の普及・実証・ビジネス化事業(中小企業支援型)に基づいて実施されたものである。
(注2)NTUとはNephelometric Turbidity Unitの略で水の濁りの程度を表す濁度の単位である。

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