イオンの事業継続計画(BCP)への取組み

イオン株式会社

業種:卸売業、小売業
掲載日 2021年1月6日
適応分野 自然災害・沿岸域 / 産業・経済活動

会社概要

イオン株式会社のロゴ
イオン株式会社は、1969年にジャスコ株式会社として設立。2001年に社名をイオン株式会社に変更。2008年、純粋持株会社体制に移行し、小売、ディベロッパー、金融、サービス、およびそれに関連する事業を営む約300のグループ会社の株式または持分を保有することによる当該会社の事業活動の管理を行う。「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。」という企業理念のもと、絶えず革新し続ける企業集団として、「お客さま第一」を実践している。

気候変動による影響

地震や異常気象による集中豪雨などの自然災害をはじめ、想定されるリスクが多様化し、BCPをいかに機能させるかが重要な課題となっている。

気候変動リスクに関する取組

イオングループは、東日本大震災以降、事業継続計画(BCP)に基づき、被災地域を含む全国各地で防災対策を実施してきた。地震や異常気象による集中豪雨を含む自然災害が今後増加していく等、想定されるリスクが多様化したため、BCPの確実な実行を総合的に管理するプロセスとして、事業継続マネジメント(BCM)を始動した。イオングループは以下の5分野でBCMを推進し、BCPを起点とするPDCAサイクルを早期に確立していく。

  1.  情報インフラの整備: 災害発生直後の通信サービスの接続不良を解消するため、インターネットを経由したITツールとして「安否確認システム」や「災害情報集約システム」等を運用している。2020年度までに、地図情報をベースに、災害情報や安否確認結果、店舗被災状況など災害に関わる各情報が一元化できる新システム“BCM総合集約システム”へ切り替えを行っている(図1)。
  2.  施設における安全・安心対策の強化: 2020年度までに100カ所の防災拠点を整備するよう推進し、災害時にも早期に営業を再開できる店舗・施設を増設している。断水・停電状態でも受水槽内の水を飲料用に利用できる災害時用バルブや、災害被災者の避難スペースとして利用できる緊急避難用大型テント「バルーンシェルター」の配備が進められている。
  3.  商品・物流におけるサプライチェーンの強化: 取引先とクラウドコンピューティングでつなぐ「BCPポータルサイト」を活用している。これにより、グループ関連各社と取引先との情報を可視化し、出荷できる工場・倉庫・商品などの情報を一元管理しているため、災害時でも支援物資の輸送時間が大幅に短縮されるほか、被災地に必要な物資を迅速かつ効率的に届ける仕組みが構築できる(図2)。
  4.  事業継続能力向上に向けた訓練計画の立案と実行: 「イオングループ総合地震防災訓練」を定期的に実施している。また、グループ総合防災訓練やエリア訓練に加えて、グループ各社と連携し、防災拠点のモールを活用した「施設の稼働訓練」や「全テナント合同の大規模避難訓練」、外部連携企業との合同訓練についても実施が検討されている。
  5.  外部連携の強化とシステム化: 災害発生時、事業継続のために必要となるエネルギー会社に加え、地域行政、病院、 大学、各エリアの民間企業など、各地域に根差した連携の取組が推進されている。これまでイオンは全国700を超える自治体・外部パートナー等と1000を超える防災協定を締結した上で連携を強化しており、安全・安心な地域づくりを目指し、今後も各地域との協力体制を構築し防災対策に取り組んでいる。

効果/期待される効果等

令和2年9月6日から7日にかけて九州近海を北上した台風10号は、九州各地に大きな被害をもたらした。イオン九州は、イオン株式会社と九州電力株式会社との災害時における相互支援に関する協定に基づき、イオンモール鹿児島(イオン九州㈱運営管理)の駐車場約200台分のスペースを9月7日より提供し、各地の電力会社から応援で駆け付けた工事車両の待機所や復旧作業員用テントの設営スペースとして活用していただいた。また、イオンモール佐賀大和(イオン九州㈱運営管理)、イオンモール熊本(イオンモール㈱運営管理)においても、9月7日より電力復旧拠点設営用のスペースとして駐車場スペースを提供した。

今後は対策会議等の実務を通じ、課題や問題点を洗い出し、改善につなげていく。

図1 イオングループ国内93社の被災情報連携
図1 イオングループ国内93社の被災情報連携
図2 BCP(事業継続計画)ポータルサイトを活用した災害時システム
図2 BCP(事業継続計画)ポータルサイトを活用した災害時システム

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