サプライチェーンの分断に対応するリスク管理

※本事例は、2023 年 3 月時点の情報に基づいて公開しています。

コニカミノルタ株式会社

業種:製造業
更新日 2023年4月19日
掲載日 2018年7月25日
適応分野 産業・経済活動

会社概要

コニカミノルタ株式会社のロゴ

コニカミノルタ株式会社は、複合機、商業・産業印刷機、ITソリューション、産業用インクジェット、医療向け製品(ヘルスケア)、計測機器などの製品・サービス事業を展開する、日本の電気機器メーカーである。

気候変動による影響

既に観測記録を更新するような異常気象が、私たちの生活に大きな影響を及ぼしている。将来的には、大規模な水害や、災害級の暑さなどが頻繁に発生したり深刻化したりすることが懸念されている。

大規模な台風や洪水などの急性的な気候災害が発生すると、当グループの設備や労務環境が被災し、従業員の就業が困難になる可能性がある。また大雨や干ばつが頻発・大規模化すると、利用可能な水資源の量を維持し続けることが難しくなる。その結果、自社拠点およびサプライヤーで一時的に操業が停止してサプライチェーンが寸断し、生産および出荷が遅延する可能性がある。

さらに、大規模な風水害や土砂災害の発生、長期的には海水面が上昇するなどのリスクが高まり、地理的にレジリエンスの低い拠点では、生産など重要業務や研究開発活動の継続が困難になる可能性がある。

気候変動リスクに関する取組

当社は、気候変動適応の取組を、サプライチェーン全体を通じて実施している。気候変動の影響は地理的、経済的、社会的などの条件によってさまざまな形で顕在化することから、適応には世界共通の明確な目標が定められていない。そこで当社は、国や地域ごとにその影響が発現する特性・特徴を見極め、取るべき対策を設定して取り組んでいる。

  • 人・場所・国・変動に依存しないデジタルマニュファクチャリング、調達先の複数確保
    原材料の供給ルートを粗原料まで遡って把握し、リスクの高い原材料については、調達先の複数確保や代替材料の検討に取り組んでいる。人・場所・国・変動に依存しない生産方式を確立するデジタルマニュファクチャリング構想に沿って、調達先を選定している。
  • カーボンニュートラルパートナー活動(サプライヤー拠点での水使用量の削減活動)
    サステナブルファクトリー活動で培った環境技術やノウハウを、サプライヤー先でも実践する「カーボンニュートラルパートナー活動」を推進し、規定のガイドラインに即して、水使用量を削減するための対策を検討、実施している。
  • サステナブルファクトリー活動(水リスク評価と対策、水使用量の削減)
    全世界の主要生産拠点において、取水量の削減目標を設定し、使用量削減のための取り組みを進めている。2021年度は、2015年度比で418,000㎥の取水量削減目標を設定し、423,000㎥の取水量削減を達成した。
    気候変動による慢性的な物理リスクとして「水資源のリスク」に着目し、世界中のグループ主要拠点およびサプライヤーを対象に、水ストレスに関する総合的なリスク評価Aqueduct(注)を2013年度より導入し、水リスクの高い拠点を特定し、必要な対策を講じて実践している。
  • 事業継続管理(BCM)の構築
    大規模な自然災害により被害を受けても重要業務を中断しない、万が一、中断しても可能な限り短い期間で再開できるよう、ワールドワイドかつサプライチェーンを考慮した具体的な行動計画「事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)」を策定している。主要事業である情報機器事業、被災時のニーズの高い医療機器をはじめ、災害発生直後に被害状況を情報収集してBCP発動の要否を判断する「初動体制」を整備している。この体制の検証のため、年に1回、災害対策本部が速やかに被災状況を把握、対応を判断、意思決定するグループ一斉防災訓練を実施している。

効果/期待される効果等

原材料の調達先の複数確保や代替材料の検討、BCMの構築によって、レジリエンスの高いサプライチェーン体制の確保が期待できる。

水利用については、今後も、拠点の新設や事業環境の変化などに応じて水リスク評価をレビューし、必要に応じた水使用削減施策を講じていく。

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