「気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)」は、気候変動による悪影響をできるだけ抑制・回避し、また正の影響を活用した社会構築を目指す施策(気候変動適応策、以下「適応策」という)を進めるために参考となる情報を、分かりやすく発信するための情報基盤です。

気候変動対策に原料新品種開発で対応

サッポロホールディングス株式会社

業種:製造業

更新日 2023年12月25日
掲載日 2023年6月8日
適応分野 農業・林業・水産業 / 産業・経済活動

会社概要

サッポロホールディングス株式会社

サッポロホールディングス株式会社は、1876年北海道・札幌にて「開拓使麦酒醸造所」として創業以来、サッポログループとして、酒類、食品飲料、不動産の分野において、個性かがやくブランドを育成・強化している。酒類、食品飲料においては、海外でも事業展開をしている。

気候変動による影響

ビールの原料である大麦やホップへの気候変動の影響が懸念されている。具体的には、病虫害の増加、熱波や干ばつ等による水リスクの増加、台風や集中豪雨等の風水害による大麦やホップの品質や収量の低下である。

気候変動リスクに関する取組

当社は、ビール事業で気候変動により影響が大きくなると想定される原料農産物について、気温上昇の度合いが異なる3つのシナリオ(注1)を用い2050年までの分析を行った。その結果、地域により大麦とホップの収量が中長期的に減少することが予測された(図1、図2)。

これらのリスクへの対応として、創業時から培ってきた原料研究の成果を活用し、気候変動によるリスク(異常気象に伴う干ばつや多雨などの影響)に適応できる新品種の開発を、大麦やホップの生産者をはじめとする様々なステークホルダーと協働で進めている(図3)。当社が掲げる適応策の目標は以下の通りである。

  • 2030年までに気候変動に適応するための新品種(大麦、ホップ)を登録出願
  • 2035年までに気候変動に適応するための新品種(大麦、ホップ)を国内で実用化
  • 2050年までに上記品種の他、新たな環境適応性品種を開発し、国内外で実用化

また、2050年までの大麦とホップに関する適応策の計画は、下表の通りである(2023年12月25日現在)。

効果/期待される効果等

原料の品種改良によって、気候変動の影響下でも安定的な収量の確保、品質の安定化を図ることが可能となる。また、さらに新品種の開発に繋がることも期待される。

主要調達地域での大麦収量増減予想
図1 主要調達地域での大麦収量増減予想
(表内の「進展」「標準」「停滞」については、脚注1参照)
主要調達地域でのホップ収量増減予想
図2 主要調達地域でのホップ収量増減予想
(表内の「進展」「標準」「停滞」については、脚注1参照)
品種改良のための研究の様子
図3 品種改良のための研究の様子

脚注
(注1)
①サステナビリティ進展シナリオ:気温上昇を2℃未満に抑えることが可能
②サステナビリティ標準シナリオ:気温上昇を2℃未満に抑えることが不可能
③サステナビリティ停滞シナリオ:気温上昇が2℃を大きく超える
(注2) 降雨により、収穫前の種子が、穂に実った状態のまま畑で発芽してしまう現象
(注3) 種の採取をする植物体
(注4) 植物体の地下部全体

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