味の素グループが実施したTCFD対応シナリオ分析

味の素株式会社

業種: 製造業
掲載日 2021年2月9日

会社概要

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味の素グループは、“アミノ酸のはたらき”で食習慣や高齢化に伴う課題を解決し、人々のウェルネスを共創する、食と健康の課題解決企業を目指している。

私たちは、“Eat Well, Live Well.”をコーポレートメッセージに、アミノ酸が持つ可能性を科学的に追求し、事業を通じて地域や社会とともに新しい価値を創出することで、さらなる成長を実現していく。

味の素グループの2019年度の売上高は1兆1,000億円。世界35の国・地域を拠点に置き、商品を販売している国・地域は130以上にのぼる(2020年現在)。

気候変動による影響

2011年10月から11月に、タイで発生した70年に一度の規模と言われる大洪水によって、味の素グループが現地に所有する5つの製造拠点が被災し、自社生産ができなくなる事態となった。

取り組み

味の素では、企業の環境情報の開示を行っているCDPからの質問書への回答対応等を経て、2019年5月に、金融安定理事会により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同するとともに、企業の効果的な情報開示や開示情報を金融機関等の適切な投資判断に繋げるための取り組みについて議論を行うTCFDコンソーシアムへの参加を表明した。これに際し、社内で水リスク対策を検討していたチームをTCFDに関する対応を検討するためのチームへと役割を変更した。

当社では、TCFDの提言に基づき気候変動が事業に与えるリスク及び機会を評価するとともに、積極的に関連情報の開示を進めている。シナリオ分析では、当社事業に関連するリスクとして、洪水による工場設備の被害・物流停止、渇水による工場操業停止、干ばつによる原料調達不全、台風等による工場設備被害、および伝染病蔓延による運転要因不足が抽出された。また、味の素グループの主力製品の一つであるうま味調味料「味の素®」をモデルとし、2018年度はモデルとして東南アジアを対象として、2019年はグループ全体のグローバル全生産拠点を対象をとして、物理リスク、移行リスク、機会ごとにシナリオ分析を実施した(図1)。

効果/期待される効果等

2019年に行ったシナリオ分析の結果、2100年に平均気温が2℃上昇した場合においては、当社が調達する主原料への影響や需要の変化は比較的小さく、利益への影響は大きくないことが確認できた。しかしその一方、エネルギー単価の増加や低炭素社会の進行に伴う炭素税の増加等により、およそ80億円から100億円の財務リスクがあることが判明した(図2)。

現在では他事業についてもグローバル視点でシナリオ分析を展開しており、リスクと機会の抽出を行い、それらの対策を通じて味の素グループ全体の事業のレジリエンスを強化することに繋げていく。

図1:味の素の看板商品の調味料「味の素®」をモデルとしたシナリオ分析項目

図1 味の素の看板商品の調味料「味の素®」をモデルとしたシナリオ分析項目

図2:味の素の看板商品の調味料「味の素®」をモデルとしたシナリオ分析項目

図2 味の素の看板商品の調味料「味の素®」をモデルとしたシナリオ分析結果

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