TCFD提言に基づくシナリオ分析と情報開示(2023年度)

味の素株式会社

業種: 製造業

更新日2024年12月2日
掲載日2021年2月9日

会社概要

味の素株式会社ロゴ

味の素グループは、“アミノ酸のはたらき”で食習慣や高齢化に伴う課題を解決し、人々のウェルネスを共創する、食と健康の課題解決企業を目指している。

私たちは、“Eat Well, Live Well.” をコーポレートメッセージに、アミノ酸が持つ可能性を科学的に追求し、事業を通じて地域や社会とともに新しい価値を創出することで、さらなる成長を実現していく。

気候変動による影響

気候変動は、大規模な自然災害による事業活動の停止、農作物や燃料等の原材料調達への影響、製品の消費の変化等、様々な形でグループ事業に影響を与える。一方、同時に私たちの事業活動も環境に負荷をもたらしている。特に、うま味調味料の原料であるグルタミン酸をはじめとするアミノ酸の製造では、多量のエネルギーが必要となる。

取り組み

当社は、企業の環境情報の開示を行っているCDPからの質問書への回答対応等を経て、2019年5月に、金融安定理事会により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同するとともに、企業の効果的な情報開示や開示情報を金融機関等の適切な投資判断に繋げるための取り組みについて議論を行うTCFDコンソーシアムへの参加を表明した。そして、TCFD提言に基づき気候変動が事業に与えるリスク及び機会を評価するとともに、積極的に関連情報の開示を進めている。

2023年度は、グローバルのうま味調味料、および国内・海外の主要な製品に加えて、その他の加工食品を事業対象としてシナリオ分析を実施した(注1、図1)。中長期における生産に関する事項として、気候変動の影響のうち、渇水、洪水、海面上昇、原料の収量変化等を物理的リスクとして、カーボンプライシングやその他の法規制の強化およびエネルギー単価の上昇、消費者嗜好の変化等を移行リスクとして捉え分析した。

1.5°Cと4°Cシナリオにおける2030年時点の平均気温差は0.2°C程度であり、物理的リスクに大きな差が見られないと考え、平均気温差が1℃程度予想され物理的リスクに差があると考えられる2050年時点のシナリオ分析のリスク(図2)と機会(図3)を特定した。

効果/期待される効果等

シナリオ分析結果の戦略への反映として、事業への影響を踏まえ、今後一層のGHG排出量削減に向け、燃料転換・再生可能エネルギー利用・環境配慮型の製法に関する投資を計画していく。また、サステナビリティに対する取り組みが製品の付加価値向上につながる「ASV(注2)」の実現に向けて、新たな事業戦略の策定に取り組んでいく。また、今後のシナリオ分析においては、分析の対象製品、対象リスクをそれぞれ広げることにより、リスク・機会の分析を高度化していく。

シナリオ分析に係る前提の推移の要約(2020年度~2023年度)
図1 シナリオ分析に係る前提の推移の要約(2020年度~2023年度)
シナリオ分析:リスク
図2 シナリオ分析:リスク
シナリオ分析:機会
図3 シナリオ分析:機会

脚注
(注1)国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によるSSP1-1.9(1.5℃シナリオ)、SSP5-8.5(4℃シナリオ)および国際エネルギー機関(IEA)によるシナリオ等を参照。
(注2)ASVとは、Ajinomoto Group Creating Shared Valueの略。CSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)に由来しており、企業が自社の売上や利益を追求するだけでなく、自社の事業を通じて社会が抱える課題や問題に取り組むことで社会的価値を創造し、その結果、経済的な価値も創造されることを意味する。

自社関連サイト