TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応
大和ハウス工業株式会社
業種:建設業
更新日 | 2024年12月13日 |
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掲載日 | 2022年2月28日 |
適応分野 | 産業・経済活動 |
会社概要

大和ハウス工業は1955年創業以来、「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、戸建住宅をはじめ賃貸住宅や分譲マンション、商業施設、物流施設、医療・介護施設、法人施設等の多様な用途の建物を建築すると共に、ホテルやホームセンター、スポーツクラブなどの運営にも取り組んでいる。また、創業100周年となる2055年を見据え、環境長期ビジョン“Challenge ZERO 2055” (注)を策定し、環境負荷ゼロに挑戦している。さらに、建設・住宅業界では世界初となる「RE100」「EP100」「SBT」に加盟するなど、環境への取組みも加速している。
気候変動による影響
気候変動の影響は年々深刻さを増し、気候変動が原因の一つとされる異常気象・気象災害などが頻発し、私たちの提供価値の根幹である住まいや暮らしの安全・安心が脅かされつつある。一方、パリ協定の採択以降、世界の国・政府が「脱炭素」へと大きく舵を切り、私たち民間セクターが果たすべき役割への期待も大きく変わろうとしている。
取り組み
当社は、2018年9月にTCFD提言への賛同を表明し、TCFD 提言が開示を推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」のフレームワークを、気候変動に関する取り組みの妥当性を検証するツールとして活用するとともに、TCFD提言に沿った情報開示を行っている。
気候変動にともなうリスクと機会には、「脱炭素社会」に向かうなかで生じる規制の強化や技術の進展、市場の変化といった「移行」に起因するものと、「地球温暖化」の結果として生じる急性的な異常気象や慢性的な気温上昇といった「物理的変化」に起因するものが考えられる。また、その影響は短期のみならず、中長期的に顕在化する可能性もある。そこで当社グループでは、気候変動にともなうさまざまな外部環境の変化について、その要因を「移行」と「物理的変化」に分類のうえ、影響を受ける期間を想定し、財務影響を大・中・小の3段階で評価し、重要なリスクと機会を特定した(図1)。
当社グループでは、特定したリスクと機会をふまえ、将来の外部環境の変化に柔軟に対応した事業戦略を立案するため、複数のシナリオを用いて、事業への影響評価を実施している。シナリオ分析にあたっては、「移行」が進むシナリオとして 1.5℃シナリオを参照、極端な「物理的変化」が進むシナリオとして 4℃シナリオを参照し、事業戦略の妥当性を検証している。
効果/期待される効果等
分析の結果、いずれのシナリオにおいても、2030年時点における将来シナリオを想定し、当社グループの提供するネット・ゼロ・エネルギー住宅や建築物の需要、環境エネルギー事業などの拡大が見込まれ、その収益増は負の財務影響を上回る見込みであることを確認し、リスク対応の妥当性とより積極的な事業機会獲得の重要性を再認識した(図2)。なお、分析の対象は当社グループのコア事業である戸建住宅、賃貸住宅、マンション、商業・事業施設事業や環境エネルギー事業を対象に、重要なリスク・機会に限っての簡易分析としている。
今後は、シナリオ分析の対象となる事業のさらなる拡大を図るとともに、リスク・機会の網羅性の向上や、分析の精緻化などにも取り組んでいく。


脚注
(注)「気候変動の緩和と適応」に関する目標は2050年をゴールとして設定。
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