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送風(換気扇や扇風機)
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散水、細霧装置
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屋根上の散水
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■日除け
送緑のカーテン、寒冷紗、よしず等の利用
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■断熱材や反射資材の活用
屋根裏・壁・床への断熱材設置や、
屋根への消石灰塗布
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■飼育密度の緩和
気温の上昇により、家畜や家禽の体温が上昇することで飼料摂取量の低下等をもたらす。
現在、家畜の増体や品質の低下、繁殖成績の低下などの影響が生じている。特に、生産量への影響が大きく、肉用の家畜において、産肉量の低下や飼育期間の延長等の影響がでている。
将来、肉用豚、肉用鶏とも、年代の経過と共に、増体量への負の影響が大きくなると予測されている。
畜種(鶏、豚、牛)の特性に応じた暑熱や湿度対策を行う(豚や牛は特に高湿度の影響を受けやすい)。影響を軽減する為に、畜舎管理(畜舎内の温度を下げたり、舎外からの熱の侵入を防ぐ)や飼養管理(栄養状態の維持等)を平行して行う。
送風(換気扇や扇風機)
散水、細霧装置
屋根上の散水
送緑のカーテン、寒冷紗、よしず等の利用
屋根裏・壁・床への断熱材設置や、
屋根への消石灰塗布
飼料の配合や栄養素を改善
水や飼料の給与方法を改善
ニップルドリンカーによる
冷水給与(肉用鶏)
畜舎内における換気扇や扇風機による畜体への送風を行い体温上昇を防いだり、散水や細霧装置による散霧を行い畜舎内の気温上昇を抑える事が効果的である。屋根への散水により気温上昇を抑える事も広く行われている。
例1)牛では過度に濡らすことなく、細霧による潜熱放散を効率的に行うため、送風と間欠細霧の組み合わせを実施する事も行われている。
例2)乳牛では暑熱ストレスを判定する指標としてTHI(温湿度指数)メーターが活用されている。
日光が直接畜舎に当たり畜舎内の気温を上昇させる事を防ぐために、緑のカーテン(ニガウリ等)や寒冷紗、よしず等を利用する。
畜舎内の気温上昇を防ぐために、断熱材を設置したり(屋根裏・壁・床)、屋根へ反射資材(石灰)を塗布する。
家畜の体感温度を低下させるために、夏場の飼育密度を下げる。
暑熱環境下では、体温上昇に伴う飼料摂取量の低下が懸念される事から、飼料の改善を行う。
例1)牛では良質な粗飼料(牧草等)の利用や、給与回数の増加等により繊維源を確保しながら、濃厚飼料(トウモロコシ等)の割合を増加させることにより飼料中の栄養濃度を高め、摂取する栄養素量を低下させない。
例2)乳牛では、栄養価の高い脂肪酸と、抗酸化物質であるビタミンの両方を飼料に添加することで、無添加あるいは両者を単独で添加した場合よりも乳量が増加することが認められている。
給水方法を工夫したり、給餌方法の改善による飼料摂取量低下を防ぐ技術を取り入れる。
例1)牛舎内へのシャワー設置(60頭規模フリーストール牛舎)
6万円程度(15分間/回、 朝夕2回散水)+扇風機も組み合わせる。
例2)日除け
・寒冷紗(遮光率55%)のネットは18m分で約3,500円。
40頭規模のフリーストール牛舎で約4,000円の設置費用。
・反射塗料の施工経費は100万円/300m2程度。(栃木県 2021)
例)乳牛への抗酸化ビタミン給与(100g/頭)と脂肪酸給与(300g/頭)の資材費(115円/頭)に対し、増乳効果(16%)により418円増益(円/頭))。
(日乳量を30kg/頭、乳価を111円/kg、脂肪酸を22.5円/100g、抗酸化ビタミンを47.3円/100gとして。)(農業・食品産業技術総合研究機構 2017)
【現時点の考え方】
畜舎内の散水・散霧や換気、屋根への石灰塗布や散水等の暑熱対策の普及による適切な畜舎環境の確保を推進するとともに、密飼いの回避や毛刈りの励行、冷水や良質飼料の給与等の適切な飼養管理技術の指導・徹底に努めている。また、栄養管理の適正化等により、夏季の増体率や繁殖性の低下を防止する生産性向上技術等の開発・普及に取り組む。(以上農林水産省 2021より引用)
【気候変動を考慮した考え方、準備・計画】
今後さらなる研究によって、暑熱ストレスの改善技術が開発されることが期待されるほか、暑さに強い個体を選抜するなどの育種からのアプローチも重要になってくると考えられる(阪谷 2014より引用)。