地域気候変動適応計画策定マニュアル -手順編-
本マニュアルは、環境省が、地方公共団体による地域気候変動適応計画の策定・充実を支援することを目的として作成しています。マニュアル(手順編、導入編)のほかに、地域気候変動適応計画を策定するためのツールや理解を深めるための情報を用意していますので、併せて御活用ください。マニュアル、ツール、参考情報の構成と概要を図 1に示します。
マニュアルの構成は以下の図のとおりです。図中のBOXをクリックすると、当該の資料にアクセスできます。
図 1 マニュアル、ツール、参考情報の構成と概要
はじめに
近年、気温の上昇、大雨の頻度の増加や、農作物の品質の低下、動植物の分布域の変化、熱中症リスクの増加など、気候変動による影響が全国各地で現れており、さらに今後、長期にわたり拡大するおそれがあります。
気候変動に対処し、国民の生命・財産を将来にわたって守り、経済・社会の持続可能な発展を図るためには、緩和(温室効果ガスの排出削減等)に全力で取り組むことはもちろん、現在生じており、また将来予測される被害の防止・軽減を図る気候変動への適応に、多様な関係者の連携・協働の下、一丸となって取り組むことが重要です。
平成30年6月、「気候変動適応法(以下「適応法」という。) 1」が成立し、同年12月1日に施行されました。適応法では、地方公共団体の責務として、「その区域における自然的経済的社会的状況に応じた気候変動適応に関する施策の推進」(第4条第1項)及び「その区域における事業者等の気候変動適応及び気候変動適応に資する事業活動の促進を図ること」(第4条第2項)が定められています。
また、都道府県及び市町村 2が、それぞれの区域の特徴に応じた適応を推進するため、地域気候変動適応計画(以下「地域適応計画」という。)の策定に努める(第12条)とされているほか、気候変動影響及び気候変動適応に関する情報の収集、整理、分析及び提供並びに技術的助言を行う拠点として、地域気候変動適応センター(以下「地域センター」という。)の確保に努めること(第13条)、また、気候変動適応に関する施策の推進に当たっては、防災や農林水産業の振興、生物多様性の保全等関連する施策との連携を図るよう努めること(第15条)が定められています。
地域適応計画は、地域の実情を踏まえつつ、都道府県・市町村の判断により策定されるものです。本マニュアルは、適応法第12条に基づき、都道府県及び市町村が、地域適応計画を策定・変更する際に参考としていただけるよう、入手可能な情報を使って標準的な手順を示すことや、参考となる情報・考え方等を提供することを目的として平成30年12月に初版を作成しました。令和4年度の改訂においては、都道府県及び市町村の策定状況に合わせて、より詳細な気候変動影響評価や適切な適応策の検討・実施につながる手法や考え方、参考情報等の充実を図ったことに加えて、主に市町村の地域適応計画の策定に役立てていただけるツール等の整備を行いました。地域におけるこれまでの適応の取組や実施体制、科学的知見の収集状況など、各地域の状況に合わせて適宜参考としていただければ幸いです。
1環境省ウェブサイト(https://www.env.go.jp/content/900449813.pdf)
2特別区も含まれます。