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2.本マニュアル及びツールの使い方

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地域気候変動適応計画の構成

気候変動影響は、区域の地形や気象条件、社会経済状況等によって、その種類や程度が様々に異なり、それに対応する取組も区域によって様々です。そのため、地方公共団体には、区域の気候変動影響や適応策に関する詳細な情報を収集し、区域の特徴に即した地域適応計画を策定することで、気候変動影響に適切に対処していくことが求められています。

地域適応計画の記載事項としては、以下のような内容が考えられます。

 

表 3 地域適応計画の記載事項の例とSTEPの該当箇所

項目

地域適応計画に記載する内容

STEP※

計画における基本的な事項

・方針や目標
・実施体制
・計画期間、見直し時期
・進捗確認の方法

STEP1
STEP8(進捗確認)

区域の特徴

・地理的条件
・社会経済状況
・気候の特徴

STEP1

気候変動影響に関する情報

・これまでに生じた気象災害
・顕在化している気候変動影響
・将来の気候変動影響に関する予測
・気候変動影響評価結果

STEP2
STEP3
STEP4

適応策に関する情報

・区域で優先的に取り組む施策
・各分野の具体的な適応策

STEP5
STEP6

※STEPは次頁の「地域気候変動適応計画策定/変更の流れ」を御参照ください。

 

本マニュアルの手順に沿って作業を行うことで、地域適応計画の策定に必要な情報を収集することができ、その情報をひな形編(別冊)に当てはめることで、地域適応計画の素案が作成できるようになっています。地域適応計画を策定する際の参考として御活用ください。 

 

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地域気候変動適応計画策定/変更の流れ

手順編では、地域適応計画を策定/変更するための手順を以下の図 8の通り想定し、それぞれのSTEPにおける作業や参考情報等について説明しています。水色で示すSTEPは主幹部局(環境部局など)が中心となって実施、オレンジ色で示すSTEPは主に気候変動影響が生じている関連部局と主幹部局が協力して実施することを想定しています。

 

8 地域気候変動適応計画策定/変更の流れ

図 8 地域気候変動適応計画策定/変更の流れ

 

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ステージの考え方

地域適応計画の策定/変更に当たり、区域内の気候変動影響や適応に関する詳細な情報を入手し活用することで、地域の気候や社会経済状況に即した、より効果的な地域適応計画を策定することができます。

しかし、現実には、対象とする気候変動影響や区域のデータ整備状況等によって、入手できる情報の量や質が異なるため、本マニュアルでは、策定/変更時に入手できる情報に応じて、いくつかのSTEPにおいては3つ程度のステージに分けて、情報の具体的な収集方法を説明しています。ステージの数字が大きいほど、詳細で科学的に信頼性の高い情報によって、地域の状況により即した計画策定ができるよう考慮しています。

まずは比較的容易に入手可能な情報を活用して地域適応計画を策定し、計画の変更時により詳細な情報を収集して内容の充実を図るなど、策定/変更時の状況に応じて参考としてください。なお、全てのSTEPを同じステージで揃える必要はなく、状況によっては、STEPごとにステージが異なることも考えられます。

 

表 4 各ステージの考え方

 

気候変動影響の整理・評価
(STEP2、STEP3、STEP4)

進捗状況の確認
(STEP8)

ステージ1
ステージ1

比較的容易に情報を入手しやすい国や都道府県の資料等を活用して計画を策定します。全国的に、あるいは都道府県で懸念されている気候変動影響の中から、特に区域内で影響が大きいと思われるものを中心に記述していきます。

適応策の進捗状況を個票などに整理し、確認します。

ステージ2
ステージ2

庁内の行政資料や計画など、区域内の気候変動影響についての既存情報の活用や、庁内の関係部局、地域住民、ステークホルダーとの意見交換などから情報を収集し計画を策定します。区域内の特有の影響なども整理し記述します。

定量的な指標を設定し、適応策の進捗状況を確認します。

ステージ3
ステージ3

区域内で特に懸念されている気候変動影響について、区域内を対象とした研究論文等の収集や、地域の大学等に情報を問い合わせることで、区域内の産業や風土に即した計画を策定します。

定量的な指標の設定に加えて、地域適応計画や各適応策の達成目標を設定し、進捗状況を確認します。

 

表 5 STEP2(これまでの気候変動影響の整理)におけるステージごとの手順概要(例)

ステージ

手順の概要

ステージ1

国や都道府県の報告書や資料を参考に、区域内で生じている影響を整理する。

ステージ2

庁内の行政資料や計画から区域内で生じている影響を整理する。または、庁内の関係部局及びその管轄下にある試験研究機関に問い合わせる。あるいは、地域住民との意見交換などから情報を収集する。

ステージ3

大学や研究機関による気候変動影響に関する研究論文等を収集する。

 

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情報整理シート

手順編では、気候変動影響や適応についての情報を「情報整理シート」で整理します。その情報を活用して地域適応計画の策定や適応策の検討を行う手順を紹介しています。STEP2~STEP6では、主に農業分野を例に、作業内容と情報整理シートの記入例を紹介します。

 

表 6 情報整理シート

 

【STEP2】
これまでの気候変動影響の整理

【STEP3】
将来の気候変動影響の整理

【STEP4】
影響評価の実施

【STEP5】
既存施策の気候変動影響への対応力の整理

【STEP6】
適応策の検討

分野

大項目

項目

2-1

2-2

2-1が将来どのような状況になるのか整理

4-1

4-2

5-1

5-2

既存施策の対応力の確認における情報から、適応策の方向性を整理

これまでに生じている気候変動影響を整理

2-1の原因となる気象現象を整理

STEP3について、重要性・緊急性・確信度を整理

優先的に取り組むとされた気候変動影響
○:優先的に取り組む
-:見送り

・2-1への既存施策や過去の対処方法を整理
・施策の立案の基準となった数値があれば整理

既存施策がSTEP3へ十分に対応力を有するのか整理

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地域気候変動適応計画策定マニュアル

はじめに
1. 地方公共団体による気候変動適応の推進と地域気候変動適応計画
2. 本マニュアル及びツールの使い方
3. 地域気候変動適応計画の策定/変更
4. 国立環境研究所気候変動適応センターによる支援

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