b3_2

【STEP 2】 これまでの気候変動影響の整理

これまでに、気候の変化や気象現象(高温、大雨等)によって生じたと考えられる影響の事例、及び影響の原因となった気象現象を整理します。

これまでに気候の変化や気象現象によって生じた影響を整理することで、区域内で気候や気象現象の影響を受けやすい分野を把握することができます。これまでに影響を受けてきた分野は、将来の気候変動によっても影響を受ける可能性が高いと考えられるため、整理しておくことが重要です。

 

影響を整理する際、表 13のように気候変動影響の原因となる気象現象(高温、大雨等)も、可能な限り影響と合わせて整理することで、STEP3における将来の気候変動影響を考える際に活用することができます。

 

気候変動の影響は多岐にわたります。全国的な気候変動影響の概要と、地域の気候変動影響について情報収集する際のチェック項目を示した「庁内コミュニケーションシート」を使うことで、効率的に気候変動影響について理解し、庁内関係部局から情報収集を行うことができます。

 

ひな型編 4.1.1 これまでの影響
ステージ1

国・都道府県の報告書や資料を参考に、区域内で生じている影響を整理する。

ステージ2

庁内の行政資料や計画から区域内で生じている影響を整理する。又は、庁内の関係部局及びその管轄下にある試験研究機関に問い合わせる。あるいは、地域住民との意見交換などから情報を収集する。

ステージ3

大学や研究機関による気候変動影響に関する研究論文等を収集する。

 

参考情報

表 13 気候・気象現象とそれに関連する気候変動影響の例

 

気候・気象現象

関連する気候変動影響

高温

・農作物の生育不良
・河川・湖沼などの水温上昇
・森林の生育適域の変化
・感染症媒介蚊の分布域の変化 など

夏日・真夏日・猛暑日
熱帯夜の増加

・熱中症搬送者数の増加
・農作物の生育不良 など

冬日・真冬日の減少

・観光資源(ウィンタースポーツ、雪まつり)への影響 など

降水量の変化

・水資源への影響(渇水、農業用水) など

短時間強雨や
大雨の発生日数の増加

・自然災害(洪水、内水氾濫、土砂災害) など

降雪量/積雪量の減少

・水資源への影響(渇水、農業用水)
・観光資源(ウィンタースポーツ、雪まつり)への影響 など

 

 

参考情報

庁内コミュニケーションシート

気候変動影響評価報告書の代表的な分野・項目※について、地域適応計画策定の担当者が、気候変動影響と適応策の概要を理解し、地域の気候変動影響や適応に資する取組の状況について情報収集することを目的として、「庁内コミュニケーションシート」を作成しました。

本資料の位置付けについては、本マニュアルの冒頭の「図1マニュアル、ツール、参考情報の構成と概要」を、詳しい使い方は、庁内コミュニケーションシート1ページ目の全体解説書を御確認ください。

※分野は「産業・経済活動分野」を除く6分野、項目は気候変動影響評価の重大性の評価が「特に重大な影響が認められる」、緊急性の評価結果が「高い」あるいは「中程度」の項目のほか、地域にとって重要と思われる項目を対象にしています。

STEP2で参考になる内容

・これまでの全国的な影響

・地域の情報を知るためのチェック項目 : 地域のこれまでの影響について庁内関係部局に問い合わせる際に参考となる質問項目

STEP3で参考になる内容

・将来の全国的な影響

STEP5で参考になる内容

・地域の情報を知るためのチェック項目 : 適応に資する地域の取組状況について、庁内関係部局に問い合わせる際に参考となる質問項目

・代表的な適応策 : 主な適応策の例示内容

・インフォグラフィック : 適応策等に関するより詳細な情報

19 庁内コミュニケーションシートのイメージ

図 19 庁内コミュニケーションシートのイメージ

 

ステージ1

国・都道府県の報告書や資料を参考に、区域内で生じている影響を整理する。

 

令和2年11月に中央環境審議会 地球環境部会 気候変動影響評価等小委員会において、我が国において現在既に現れている気候変動影響や、既存の研究による気候変動の将来予測など、気候変動が日本の自然や人間社会に与える影響についての情報を整理し、「日本における気候変動による影響の評価について(答申)」が示されました。この答申を踏まえて、国は、「気候変動影響評価報告書」を作成し、公表しています。

 

「気候変動影響評価報告書」では、表 14の7分野等における気候変動影響について、「現在の状況」と「将来予測される影響」を詳細に記述しています。このうち「現在の状況」から区域に関係する影響を抜き出すことで、影響を受けやすい分野を把握することができます。

表 19(p.48)に「気候変動影響評価報告書」とその他参考になる報告書や資料を示しています。

 

市町村では、都道府県の地域適応計画に記載されている区域の気候変動影響に関する情報等を活用することも考えられます。また、近隣市町村や、気候条件・地理条件・産業構造等が似ている地方自治体の地域適応計画を参考にすることも考えられます。

 

表 14 気候変動影響評価報告書における分野等

分野

大項目

農業・林業・水産業

農業/林業/水産業

水環境・水資源

水環境/水資源

自然生態系

陸域生態系/淡水生態系/沿岸生態系/海洋生態系/その他/生態系サービス

自然災害・沿岸域

河川/沿岸/山地/その他/複合的な災害影響

健康

冬季の温暖化/暑熱/感染症/その他

産業・経済活動

製造業/エネルギー/商業/金融・保険/観光業/建設業/医療/その他

国民生活・都市生活

都市インフラ、ライフライン等
/文化・歴史などを感じる暮らし/その他

分野間の影響の連鎖

インフラ・ライフラインの途絶に伴う影響

※詳細は「気候変動影響評価報告書(総説)(p.34-35)」を御参照ください。

 

事例

都道府県の気候変動影響情報の活用

栃木県塩谷町「第2次塩谷町環境基本計画」

栃木県塩谷町は令和4年3月に策定した「第2次塩谷町環境基本計画」における「塩谷町気候変動適応計画」の中で、県の地球温暖化対策実行計画及び気候変動影響調査の内容を基に気候変動影響の情報をまとめています。気候変動によって過去に経験のない影響が生じる可能性もあることから、市町村内で生じた影響のみに絞るのではなく、都道府県等の気候変動影響調査結果等を用いて幅広く情報収集し影響を把握することも考えられます。

20 県の気候変動影響の情報を用いた情報の整理

図 20 県の気候変動影響の情報を用いた情報の整理

出典:第2次塩谷町環境基本計画(令和4年、塩谷町)

 

追加事例

都道府県の気候変動影響情報の活用

※追加事例は、国立環境研究所が本マニュアル策定後(令和5年9月)に追加した事例です。

神奈川県横須賀市「ゼロカーボンシティよこすか 2050アクションプラン」

神奈川県横須賀市は、令和4年3月に策定した「ゼロカーボンシティよこすか 2050アクションプラン」において、国及び神奈川県(神奈川県気候変動適応センター)の資料や、横須賀市内で影響が確認されている情報を踏まえて、これまでの気候変動影響と将来の気候変動影響を整理しています。

出典:ゼロカーボンシティよこすか 2050アクションプラン(令和4年、横須賀市)を一部編集

 


情報整理シートの記入例

表 15 STEP2_ステージ1(例:農業・林業・水産業分野)

 

【STEP2】
これまでの気候変動影響の整理

分野

大項目

項目

2-1

2-2

これまでに生じていると考えられる気候変動影響を整理

2-1の原因となる気象現象を整理

農業・
林業・
水産業

農業

水稲

水稲における一等米比率の低下
(出典:気候変動影響評価報告書)

気温の上昇
(出典:気候変動影響評価報告書)

ステージ2

庁内の行政資料や計画から区域内で生じている影響を整理する。又は、庁内の関係部局及びその管轄下にある試験研究機関に問い合わせる。あるいは、地域住民との意見交換などから情報を収集する。

 

庁内の行政資料や計画で、各分野の気候変動影響に関連した内容が記載されている場合があります。また、庁内関係部局では、既に気候変動影響についての情報を把握している場合があります。

庁内の行政資料や計画を参照したり、庁内の関係部局に気候変動影響について問い合わせたりすることで、区域内の詳細な情報を入手することができます。

庁内だけでなく、地域の住民や企業などとの対話やアンケート、ヒアリング等を通じて、区域内の気候変動影響に関する情報を収集する方法も考えられます。その場合、収集した情報には気候変動影響ではないものも含まれる可能性があるため、必要に応じて専門家の意見を求め、科学的妥当性を確認することも考えられます。環境省が令和元年から実施している「国民参加による気候変動影響情報収集・分析委託業務」においては、地域センターが中心となり、区域内の農協・漁協、小学校等の教育機関、企業等へのヒアリングや、住民向けのワークショップを通じて情報収集を行っています。本事業の成果は、A-PLATで紹介しています(詳細はp.105を参照)。

 

事例

地域の気候変動影響等の取りまとめ

滋賀県「滋賀県の気候変動影響等とりまとめ」

滋賀県は、令和3年3月に改定した「滋賀県における気候変動影響等とりまとめ」で、滋賀県内において現時点で気候変動による影響として、その可能性が示唆される事象を整理しています。以下の例では、滋賀県琵琶湖環境科学研究センターのデータによって具体的な影響の情報を示しています。

21 滋賀県内にて既に現れている気候変動の影響(水環境)

図 21 滋賀県内にて既に現れている気候変動の影響(水環境)

出典:滋賀県の気候変動影響等とりまとめ(令和3年、滋賀県気候変動適応センター)

 

追加事例

地域の気候変動影響等の取りまとめ

※追加事例は、国立環境研究所が本マニュアル策定後(令和5年9月)に追加した事例です。

埼玉県越谷市「越谷市環境管理計画」

埼玉県越谷市では、令和3年4月に策定した「越谷市環境管理計画」で、越谷市の資料から熱中症患者搬送数を引用し、これまでの夏の猛暑による被害の発生状況を示しています。

出典:越谷市環境管理計画(令和3年、越谷市)

岡山県「岡山県地球温暖化対策実行計画」

岡山県は、令和5年3月に改定した「岡山県地球温暖化対策実行計画」で、全国的な影響及び本県において認められる影響について記載しています。以下の例では、自然災害分野について、岡山県内のこれまでの被害の状況を記載しています。

出典:岡山県地球温暖化対策実行計画(令和5年、岡山県)を一部編集

栃木県「栃木県気候変動対策推進計画」

栃木県では、令和5年3月に改定した「栃木県気候変動対策推進計画」で、県における主な気候変動影響を国や県の資料を引用して記載しています。

以下の例では、県農政部の資料を引用し、高温年における水稲の品質の低下などの影響があることを示しています。

出典:栃木県気候変動対策推進計画(令和5年、栃木県)

 

事例

庁内の関係部局からの情報収集

北海道札幌市「札幌市気候変動対策行動計画」

札幌市では独自のフォーマットを作成して、庁内関係部局から適応計画に関する情報を収集しています。表は分野ごとに「市内における気候変動が原因と思われる変化(メリット、デメリット)、(予測される)影響等」「対応の時期」「現在の取組状況と今後の対応方針」等を記載する形式となっています。

22 札幌市における情報収集フォーマット

図 22 札幌市における情報収集フォーマット

出典:札幌市提供資料

 

追加事例

庁内の関係部局からの情報収集

※追加事例は、国立環境研究所が本マニュアル策定後(令和5年9月)に追加した事例です。

長野県松本市「まつもとゼロカーボン実現計画」

長野県松本市では、「長野県の気候変動とその影響」(信州気候変動適応センター)、「長野県における気候変動の影響と適応策」(長野県)をもとに、松本市の気候変動により想定される影響を計画策定部局で整理しています(下図)。そして、庁内関連部局に対して、この整理結果を見せながら、松本市内で生じている影響について、個別に聞き取りを行っています。

聞き取り結果を計画に取りまとめるに当たって、情報の出典元を記載しています(下表)。(国)、(県)は、国や県で情報があり、かつ松本市でも確認されていることや今後起こりそうなこと、(市)は、庁内のヒアリング調査で収集した情報に基づく記載であることを指しています。

出典:まつもとゼロカーボン実現計画(令和4年、松本市)

 

事例

住民参加型の情報収集手法

国立環境研究所「アンケート調査実施時の参考資料」
近畿地方環境事務所「市民参加による気候変動の地域での影響事例調べワークショップ手順書」
滋賀県「身近な温暖化の事例探し」
長野県信州気候変動適応センター「市民講座等」

気候変動影響の情報の取りまとめは、文献調査や専門家等への聞き取り等だけでなく、区域内の住民から情報を収集・整理することも一つの手段です。住民参加型の気候変動影響の情報収集手法は、アンケートやウェブサイト等で情報収集する方法と、ワークショップ形式等で対話を通じて情報収集する方法があります。

①アンケートやウェブサイト等で情報収集する方法

環境基本計画や地方公共団体実行計画を策定する場合は、住民の意向調査としてアンケートを実施することが多いため、その中に気候変動影響に関する設問を入れることが考えられます。アンケートの例としては、A-PLATに「アンケート調査実施時の参考資料」(p.102)が掲載されており、設問例もありますので参考にすると良いでしょう。また、選択肢形式ではなく自由記述式で聞くと、より具体的な影響の情報を得られる可能性があります。自由記述式の場合は、「影響の発生場所、影響の発生時期等を含め具体的に御記載ください」等と注意書きがあるとより正確な情報の提供が期待できます。

②ワークショップ形式等で対話を通じて情報収集する方法

イベントや環境教育の場を活用して、ワークショップの形で住民の方々から気候変動への影響を収集することが考えられます。ワークショップの開催方法は近畿地方環境事務所の「市民参加による気候変動の地域での影響事例調べワークショップ手順書」に詳しく掲載されていますので御参照ください(図 23)。

23 ワークショップの準備と第一回ワークショップの例

図 23 ワークショップの準備と第一回ワークショップの例

出典:近畿地方環境事務所「市民参加による気候変動の地域での影響事例調べワークショップ手順書」

 

また、滋賀県では「気候変動影響に関するワーキング」で、県内で生じている「温暖化による環境の変化」「気候変動への今後の不安」を共有し、個人や地域で取り組むことのできる「適応策」を考えることを目的とした県民ワークショップを実施し、ウェブサイト上に「収集された影響事例」として掲載されています(図 24)。

24 気候変動影響に関するワーキングの様子と収集された影響事例(春)

図 24 気候変動影響に関するワーキングの様子と収集された影響事例(春)

出典:滋賀県ウェブサイト「気候変動適応の推進」

 

長野県では市民を対象とした気候変動影響についての出前講座等を実施する際、参加した市民を対象にアンケート形式で気候変動影響の情報収集を行っています。また、長野県の高校で「地域の気候変動の影響」を実感する授業を実施した際は、将来の気候変動に関する説明をした上で、「身近な気候変動影響を調べて発表する」という課題を行いました。地域の産業に従事している人や親類へ気候変動についてのインタビューを行うことで、地域に根ざした気候変動影響の情報収集だけでなく、生徒の環境教育にも一役買っています。

 

 

事例

気候変動影響によるプラス面の掲載

徳島県「徳島県気候変動対策推進計画(適応編)」

徳島県気候変動対策推進計画(適応編)では、気候変動によるマイナスの影響に加えて、気候変動影響によるプラスの側面についても紹介しています。

25 影響によるプラス面の例

図 25 影響によるプラス面の例

出典:徳島県気候変動対策推進計画(適応編)(令和3年3月、徳島県)

 

参考情報

表 16 行政資料に関する参考情報

 

分野横断

・日本の各地域における気候の変化 及び 都道府県版リーフレット (参考資料1-5)

・気候変動監視レポート(参考資料1-2)

・日本の気候変動2020(参考資料1-1) など

農業・林業・
水産業

・農業/林業/水産業の生産統計

・農業/林業/水産業の試験研究機関の研究レポート など

・農業/林業/水産業の振興計画

水環境・水資源

・環境白書あるいは環境基本計画の年次報告書

・環境基本計画
・日本の水資源の現況
・水環境保全基本計画
・下水道事業計画
・水道ビジョン
・水循環基本計画

自然生態系

・環境白書あるいは環境基本計画の年次報告書

・緑の基本計画

・自然環境保全基礎調査等の自然生態系関連の統計・レポート など

・環境基本計画
・生物多様性地域戦略

自然災害・沿岸域

・災害関連の白書あるいは災害関連の統計・レポート など

・国土交通省地方整備局の調査報告書

・防災基本計画
・地域防災計画
・国土強靭化地域計画
・都市計画マスタープラン
・立地適正化計画
・河川整備計画
・沿岸整備計画
・港湾・漁港整備計画

健康

・保健研究センター、保健所等の所報・統計・レポート など

・環境基本計画
・地域医療計画
・健康づくりプラン
・蚊媒介感染症予防計画
・ヒートアイランド対策推進計画
・緑の基本計画

産業・経済活動

・観光白書
・産業振興計画
・観光基本計画

国民(市民)生活・都市生活

・環境白書あるいは環境基本計画の年次報告書

 

 

追加事例

行政の統計調査等を使用して影響を把握した事例

※追加事例は、国立環境研究所が本マニュアル策定後(令和5年9月)に追加した事例です。

長野県「長野県ゼロカーボン戦略」

農業・林業・水産業分野や自然生態系分野の影響を把握するための情報として、地域で重要な生物や生息環境に関する調査結果を活用することが考えられます。例えば、長野県では、諏訪湖の特産品であるワカサギの遡上に関する調査結果や諏訪湖の水温データを活用し、遡上ピークと河川水温、湖水温、親魚体重の間に関係が認められることを記載しています。

出典:長野県ゼロカーボン戦略(令和3年、長野県)

埼玉県越谷市「越谷市環境管理計画」

自然災害・沿岸域分野の影響を把握するための統計データとして、過去の台風等による浸水状況の記録が活用できます。埼玉県越谷市では、市で収集している浸水実績の概要と、浸水状況の写真を掲載しています。

出典:越谷市環境管理計画(令和3年、越谷市)

愛知県豊田市「豊田市地域気候変動適応計画」

健康分野の影響を把握するための統計調査として、都道府県や市区町村が収集している「暑さ指数」(WBGT値)や「熱中症搬送者数」のデータが活用できます。豊田市では、2019年の暑さ指数と熱中症搬送人数を示すとともに、発生場所別及び年齢区分別の熱中症搬送者数を示し、これらをもとに分析を行っています。

出典:豊田市地域気候変動適応計画(令和4年、豊田市)

千葉県「千葉県地球温暖化対策実行計画」

国民(市民)生活・都市生活分野の影響を把握するための統計情報として、地方気象台が収集している「さくらの開花日」のデータが活用できます。千葉県では、銚子地方気象台における、1953年から2021年までの開花日の経年変化をグラフにして示しています。

出典:千葉県地球温暖化対策実行計画(令和5年、千葉県)

 


情報整理シートの記入例

表 17 STEP2_ステージ2(例:農業・林業・水産業分野)

 

【STEP2】
これまでの気候変動影響の整理

分野

大項目

項目

2-1

2-2

これまでに生じていると考えられる気候変動影響

2-1の原因となる気象現象を整理

農業・
林業・
水産業

農業

水稲

水稲における一等米比率の低下
(出典:農業振興計画)

高温
(出典:農業振興計画)

 

ステージ3

大学や研究機関による気候変動影響に関する研究論文等を収集する。

 

特に区域内に拠点を置く大学や研究機関においては、区域を対象とした気候変動影響に関する研究を実施している場合があります。

例えば、論文検索サービス等を使って、区域の気候変動影響に関する研究論文等を収集することで、有用な情報を入手することができます。

また、大学や研究機関へのヒアリングや問合せ等を通じて、気候変動とその影響に関する研究の実施の有無、実施内容やその結果に関するより詳細な情報を入手できる可能性があります。

 

事例

研究論文等を用いた情報収集・整理

静岡県「静岡県の気候変動影響と適応取組方針」

静岡県では、地域内の気候変動影響に関する論文等を活用して、静岡県内の影響を詳細に記載しています。調査対象の分野に関して、影響評価報告書の引用文献(表 19)を手掛かりとし、地域内に関連しそうな論文を検索することが考えられます。

 26 静岡県の気候変動影響と適応取組方針における研究論文参照例

図 26 静岡県の気候変動影響と適応取組方針における研究論文参照例

出典:静岡県の気候変動影響と適応取組方針(平成31年、静岡県)

 


情報整理シートの記入例

表 18 STEP2_ステージ3(例:農業・林業・水産業分野)

 

【STEP2】
これまでの気候変動影響の整理

分野

大項目

項目

2-1

2-2

これまでに生じていると考えられる気候変動影響を整理

2-1の原因となる気象現象を整理

農業・林業・水産業

農業

水稲

水稲における一等米比率の低下
(出典:●●(研究論文の情報))

高温
(出典:●●(研究論文の情報))

 

参考情報

STEP 2で活用できる参考資料 表 19 これまでの気候変動影響に関する参考情報

 

情報の種類

資料名等

内容

紹介ページ・
資料番号
(資料集)

これまでの影響

気候変動影響評価報告書
(総説・詳細)

各分野の全国的な影響の情報

1-8
1-9

庁内コミュニケーションシート

地域適応計画策定の担当者を対象として、各分野の代表的な気候変動影響と適応策の特徴を理解するための資料

p. 36

インフォグラフィック
(A-PLAT)

7分野の代表的な項目の適応策について、「影響の要因⇒現在の状況と将来予測⇒適応策」の関係性を示し、適応策を体系的に整理したもの

3-1

地域気候変動適応計画マニュアル 資料集

気候変動影響予測に関する様々な報告書などの資料を紹介

資料集

気候変動影響評価報告書の引用文献(A-PLAT)

気候変動影響評価報告書(詳細)において引用されている各分野の文献情報

1-10

分野間の
影響

気候変動影響評価報告書
(総説)
p.45~63

7分野の気候変動影響の概略図(各分野と関係が深い分野・項目が表示されている)

1-8

気候変動影響評価報告書
(総説)
p.64~69
気候変動影響評価報告書
(詳細)
p.292~297

ある影響が分野を超えて他の影響を誘発することによる影響の連鎖や、異なる分野での影響が連続することにより影響の甚大化をもたらす事象について、例と共に解説

1-8
1-9

 

 

■資料集に掲載されている参考資料

関連する資料集に掲載されている参考資料をすぐ確認できるよう、抜粋してHTML版で掲載しています。

 

参考資料1-8

気候変動影響評価報告書 総説

対象STEP : STEP 2,3,6

【概要】

気候変動適応法第10条に基づき、気候変動及び多様な分野における気候変動影響の観測、監視、予測及び評価に関する最新の科学的知見を踏まえた、気候変動影響の総合的な評価についての報告書。

「総説」では、影響評価の要約に加え、日本における気候変動の概要や影響評価に関連する現在の取組、課題や展望等をまとめている。

 

参考資料1-9

気候変動影響評価報告書 詳細

対象STEP : STEP 2,3

【概要】

気候変動適応法第10条に基づき、気候変動及び多様な分野における気候変動影響の観測、監視、予測及び評価に関する最新の科学的知見を踏まえた、気候変動影響の総合的な評価についての報告書。

「詳細」では、影響評価の詳細な内容を、引用した論文、レポート等と併せて紹介している。

 

参考資料1-10

気候変動影響評価報告書の引用文献

対象STEP : STEP2,3

【概要】

気候変動影響評価報告書(参考資料4-1、4-2)に掲載されている引用文献の一覧を分野ごとに掲載したページ。

 

参考資料3-1

インフォグラフィック

対象STEP : STEP 2,3,5,6

【概要】

7分野の代表的な項目について、影響の要因、現在の状況と将来予測、適応策の関係性を示した上で、適応策を体系的に整理した資料。適応策を理解し、各地域で検討する上で活用できる。

地域気候変動適応計画策定マニュアル

はじめに
1. 地方公共団体による気候変動適応の推進と地域気候変動適応計画
2. 本マニュアル及びツールの使い方
3. 地域気候変動適応計画の策定/変更
4. 国立環境研究所気候変動適応センターによる支援

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