資源の確保・水安定供給
ヤマハ発動機株式会社
更新日 | 2022年4月21日 |
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掲載日 | 2017年3月16日 |
適応分野 | 水環境・水資源 |
会社概要
1955年、二輪車メーカーとして設立された。以来、製品を通じて世界の人々の暮らしに貢献することを目指している。水浄化ビジネスに取り組むきっかけになったのは1980年代、インドネシアのバイク製造工場で働く現地駐在員の家族から「水道の水が茶色い。鉄臭い」という苦情を受けた経験。水道水を浄化する家庭用浄水装置を開発し、2010年から現地で試験的に販売・運用したのが、現在のクリーンウォーターシステムの原型である。
気候変動による影響
気候変動による水害の増加は水源の汚染を拡大させ、人々の健康状態の悪化により病人数が増加し、社会経済開発を阻害する。ヤマハ発動機は、人々の健康状態の向上及び新しいビジネスによる社会経済の開発に貢献するために、小型浄水装置「ヤマハクリーンウォーターシステム」を開発し、2010年から各地で導入を進めている。気候変動に起因する水の汚染への対策をとり、人々の健康状態及び社会経済環境を改善することが水供給分野の適応策となる。
適応に関する取り組み
「水資源の減少」、「水害による水質汚染」に対応する
【製品・技術】
「ヤマハクリーンウォーターシステム」では、水の浄化に、砂や砂利を利用する「緩速ろ過式」を採用している。ポンプで汲み上げた表流水を、砂や砂利を敷き詰めた「ろ過槽」に通して 泥やゴミを除去し、槽内に自然発生する藻類による光合成で、水中の溶存酸素濃度を増加させ、微生物による水処理を活発にさせる(図1)。凝集剤やフィルター交換が不要なため、運用及びメンテナンスに高度な技術やコストが必要なく、地域住民による自主運営・管理が可能である。
【活動内容】
水資源への影響が懸念されるインドネシア、ベトナム、セネガル、ベナン等において、病院や学校、村に「ヤマハクリーンウォーターシステム」(図2)を導入し、下痢や発熱などの病気の大幅な減少に貢献している。また、住民は水汲み労働から解放され生産・学習活動へ転換、水配達や洗浄・製氷などの新ビジネスによる村落開発など、暮らしに様々な変化が起こっている(図3)。ヤマハ発動機は、「ヤマハクリーンウォーターシステム」を社会基盤整備に寄与すると同時に同社のブランド力向上に資する商品ととらえ、水はあるが、飲用化のための支援が届かない地域にドナー諸国・機関の支援を得ながら、設置を推進している。
効果/期待される効果等
安全な水を飲むことによる健康改善はもちろん、それまで水汲みに費やしてきた時間を生産や学習の活動へ充てられるようになり、水配達や洗浄・製氷など、新たなビジネスのチャンスを生み出すきっかけになる。きれいな水は、衛生概念の向上や疫病予防など直接的なベネフィットだけでなく、村落の活性化にも繋がっている。