プラスチック製雨水貯留構造体による浸水・洪水被害の軽減と雨水利用の促進
秩父ケミカル株式会社
掲載日 | 2019年2月14日 |
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適応分野 | 自然災害・沿岸域 / 水環境・水資源 |
会社概要
秩父ケミカル株式会社は1990年創業のプラスチック製雨水貯留構造体メーカーである。雨水活用技術(雨水貯留・浸透・利用)によって雨と地球環境の調和を図ることを目標とし、プラスチック製雨水貯留構造体及び維持管理施設の開発・販売を行っている。
適応に関する取り組み
近年、過去の観測を上回るような短時間強雨が増加しているが、都市の発展により地表が建物・舗装等に覆われているため、従来は地中に浸透していたはずの雨水が側溝や下水管を経由して一気に河川に流れ込み、浸水被害を引き起こす原因となっている。また、地中への雨水浸透量が減少したことで、地下水位の低下や湧水の枯渇、平常時の河川流量の減少などが懸念されている。
秩父ケミカルのプラスチック製雨水貯留構造体は、地中に雨水の貯留空間を構築して雨水の流出を抑制し、浸水・洪水の被害を緩和するものである。設置先の状況によって浸透型と貯留型を使い分けし、浸透型は地下水涵養や河川の低水流量の確保に寄与し、貯留型は雨水利用槽としても活用することができる。(図1)軽重量と高強度を両立した部材により、施工を含めたトータルコストを抑えながらも、レベル2地震動(阪神淡路大震災クラス)と上載荷重T-25※ 活荷重へ対応した強度で駐車場下に設置可能である。
また、日本以上に浸水・洪水被害や水不足が深刻な東南アジア地域への普及も目指しており、「JICA 2013年度補正予算 普及・実証事業」に採択されてインドネシア共和国内の公共施設にプラスチック製雨水貯留構造体を導入、さらに「JICA 2017年度 中小企業海外展開支援事業~案件化調査」の採択を受けてタイの浸水被害や雨水利用、地盤状況の実態を調査した。
今後も気候変動の影響によって激化することが予測される豪雨や渇水への適応策として、プラスチック製雨水貯留構造体の国内外への普及により健全な水循環系の構築に寄与していく(図2)。
※T-25とは車両総重量が25tに相当する荷重のこと。