気候変動の影響で拡大が懸念される薬剤耐性(AMR)に対する当社の取り組み
塩野義製薬株式会社
掲載日 | 2020年4月28日 |
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適応分野 | 健康 |
会社概要
創業1878年。「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」という基本方針のもと、患者さまやそのご家族の方々のQOL(Quality of Life:生活の質)向上を目指し、より一層満足度の高い医薬品を届けることをミッションとして、医療用医薬品を中心とした研究・開発・製造・販売活動に日々注力している。
気候変動による影響
Antimicrobial Resistance(薬剤耐性、以下「AMR」(注1))は、抗菌薬の不適切な使用などにより助長されると考えられている。加えて、気候変動による気温上昇等によっても薬剤耐性菌の増加や薬剤耐性率の上昇等が懸念されている。
AMRはグローバルな脅威であり、薬剤耐性菌による感染症患者に対しては生命に危険を及ぼし、社会に対しては直接的・間接的に深刻な損失をもたらす可能性があるため、気候変動によるAMR拡大は人類に大きな影響を及ぼすおそれがある。またAMRに対して効果のある抗菌薬が開発され市場に投入されなければ、将来的には現在の感染症治療で用いられている抗菌薬だけでは命を救う事が出来なくなる等、手に負えない状況になる可能性が危惧される。
(注1) 抗菌薬(抗生物質等)は細菌などの微生物の増殖を抑えたり、壊したりする薬である。しかし、微生物も様々な手段を使って、薬から逃げ延びようとする。このように、微生物に対して薬が効かなくなることを、「薬剤耐性(AMR)」と呼ぶ。
適応に関する取り組み
2017年に世界保健機関(以下WHO)は、抗菌薬が効かない薬剤耐性菌の中でも、「人類の健康に最も大きな影響を与える」として新しい抗菌薬開発の緊急性が高い薬剤耐性菌のリストを公表した(図)。最も優先して対処すべき菌種の多くがカルバペネム系抗菌薬に対する耐性菌であることから、塩野義製薬はWHOが緊急性高く重大と位置付ける3種のカルバペネム耐性菌に対応できる感染症治療薬を開発し、AMRに関する問題に対して取り組んでいる。
なお、塩野義製薬は「世界を感染症の脅威から守る」ために、未だ治療法が確立していない感染症に対する新薬を生み出し、同時に感染症薬の適正使用を推進することにより、新たな薬剤耐性菌の発生を防ぐ取組みも継続的に行っている。さらに一般市民に向けた感染症対策の普及啓発活動にも継続的に取り組んでいる。
効果/期待される効果等
気温上昇によってリスク上昇が懸念されるAMRの脅威から人類を守るための治療薬の一つとして期待される。塩野義製薬は、今後も新しい抗菌薬の開発・上市に取り組み、世界を感染症の脅威から守っていく。