「水の専門家集団」として、生活・社会インフラとしての水環境設備の導入から維持管理保全まで、安全・安心な水の提供をフォロー

株式会社サニコン/株式会社アクリート

業種:建設業、学術研究、専門・技術サービス業
掲載日 2021年8月10日
適応分野 水環境・水資源

会社概要

株式会社サニコン様/株式会社アクリート

株式会社サニコンは1970年に設立。創業以来、半世紀にわたり、「水の専門家集団」として、生活・社会インフラとしての水環境設備の維持管理保全に取組んできた。

お客様の財産である各施設の安全、安心を実現するために、住環境整備の最適解を常に追求し続ける事で、豊かで快適な住まいと暮らしに貢献できる企業として、事業を通じて培ってきた確実な技術力を生かし、保全・改善、新たな価値の提供をしている。

1997年からベトナムとの技術協力を開始。2006年に様々な水処理手法、装置、機器等の中から最適なシステム構築に注力する関連会社としてアクリート社を設立。生活に欠くことのできない水、その限りある水資源の確保・浄化と循環のための最適解を追求すると共に持続可能な地球環境の保全を目指す企業理念のもと、国内外で事業を通じ人の健康を守り、生活の安全、安心を追求する活動のもとにSDGsの課題達成に貢献できる企業として展開している。

気候変動による影響

気候変動により頻繁に引き起こされる水不足や水質の汚濁・汚染は、地域の水資源を脅かし、水を利用する人の生活、産業発展を妨げる。

適応に関する取り組み

サニコン社及びグループ企業のアクリート社は、ベトナム・ビンディン省にあるホテルに浄水処理施設を納入し、技術協力を続けている。本取り組みに至るまでには、次のような経緯があった。

堺市とベトナム・ビンディン省との間には、在大阪ベトナム総領事館を通じ両国地元企業の交流、人材交流等の経験から、交流関係が長年にわたり構築されている。地元の環境を守りつつ、経済発展を図る計画を立てていたビンディン省は、日本へ訪問団を派遣した際に、サニコン社及びアクリート社が計画、設計施工、維持管理する浄水処理施設、浄化槽施設を見学し、このことからその後のビンディン省における浄水処理施設、並びに排水処理施設の維持管理指導につながった。

なかでも、ビンディン省の成長産業である観光業において有力企業であるCONSTRUCTION JOINT STOCK COMPANY47(CC47)は、自社所有ホテルでの安全な水供給を確保する願いから、ホテルにある井戸水を飲料水レベルにまで浄化する事業を検討し、サニコン社の技術を要望。サニコン社の給水に関するノウハウと、アクリート社の浄水技術を結集して、2017年5月に井水浄水処理施設をCC47社のSeagull Hotelに納入した(図1、図2)。当施設(注1)では、細菌やウィルスの除去が可能。ろ過する水の95%を再利用できることに加え、ポンプの電力消費が少なく、長期間の使用に耐えられる等、途上国での使用に適したメリットがある。また、当施設のろ過膜では、安全なレベルでの硬度成分、イオン類を残すことができるため、地元の水の風味を残すことが可能である。

機器納入の際には施工及び維持管理における指導も実施。施工から通常の維持管理手順(注2)について全て日本式の技術基準、手法を伝授の上、安全な水供給が継続可能な状況を実現した。

その後、現地にSanicon Binh Dinh Vietnamを設立し、日本から定期的に技術者を現地に派遣し、営業推進、現地へ水研連事業において技術指導を進めている(図3)。

効果/期待される効果等

この井水浄水処理施設の導入によって、観光客向けに安全・安心な水の提供が実現したため、今後の地元経済の持続可能な発展への道筋への一助となっている。地元ではこの事例に基づき、総合病院、学校への浄水システムの活用について検討が始まった。

脚注
(注1) 浄水処理施設は、細菌やウィルスの除去が可能なUF膜(限外ろ過膜)による水処理であり、膜面に対し平行な流れを作ることで膜供給水中の懸濁物質やコロイドが膜面に堆積する現象を抑制しながらろ過を行うクロスフローろ過方式を採用した。
(注2) 「施工から通常の維持管理手順」は、浄水装置、及び給水系統設備周辺の整理整頓、蓋の開閉、既設受水槽、高架水槽内部の樹脂コーティング等。

Seagull Hotel
図1 Seagull Hotel
浄水装置
図2 浄水装置
日越技術チーム
図3 日越技術チーム

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