リアルタイム被害予測ウェブサイト「cmap」

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

業種:金融業、保険業
掲載日 2021年8月5日
適応分野 自然災害・沿岸域

会社概要

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社は、MS&ADインシュアランス グループの中核事業である損害保険事業を担う会社である。トヨタグループ・日本生命グループとのパートナー関係を強化し特長を活かすとともに、「地域密着」営業を展開している。

気候変動による影響

近年、気候変動が要因と考えられる大規模な自然災害が国内外で相次いで発生し、人々の生活や企業活動、自然環境に大きな被害を与えている。自然災害発生時は迅速かつ適切な初動対応が急務となるが、情報不足により被災地域や被災規模の推定は困難を伴う。また、どのような状況においてもお客さまからの被害の受付や保険金の支払いを速やかに進めることは、損害保険会社の責務であるが、そのためには被害規模を早期に把握する必要がある。

適応に関する取り組み

当社は、被害規模を早期に把握することを目的に、リアルタイム被害予測ウェブサイト「cmap」(シーマップ)を開発した(注1)。cmapは豪雨、地震による被害が発生した際は被災直後から、台風は被災前から、被災建物棟数、被災件数率を市区町村ごとに予測し、地図上に表示するウェブサイトである(図1)。平時においては、過去に発生した主な台風・豪雨・地震を用いたシミュレーションや、世界中の気象情報を確認することができる。また、国土地理院が公開する洪水及び土砂災害に関するハザードマップ表示機能(浸水想定、土砂警戒、土砂危険)を表示することも可能である。

cmapは以下の4つの点において世界初(注2)のウェブサイトとなっている。

  1. 無償一般公開をしている点。スマートフォン、パソコン、タブレット端末など全てのデバイスから誰でも利用することができ、利用者登録などの手続きも不要である。
  2. 台風の被災前予測を行っている点。気象庁をはじめとする台風進路情報や気象データを用いて建物の被害予測をより早いタイミングで開始し、最大で7日先の被害予測を表示することができる。
  3. 被災建物数、被災件数率を予測する点。日本中すべての建物が火災保険、地震保険に加入していると仮定して、保険金の支払い対象になる可能性のある件数をカウントすることができる。
  4. リアルタイム更新を行う点。地震は観測してから約10分後、台風、豪雨は1時間ごとに表示、更新する。警戒レベル3、4、5相当地域の情報表示は1分ごとに更新され、画面は10分ごとに自動更新される仕組みとなっている(図2)。

さらにcmapに災害に関する緊急情報の通知機能を備えたアプリ「被害予測アプリcmap」を開発し、無料で公開している(図3)。地点を郵便番号で登録することが可能で、現在地と登録した地点の災害時の緊急情報(気象警報・避難勧告等)を通知する。また、自治体指定の緊急避難場所を地図上に表示する機能があり、外出先でも気軽に確認が可能である。

効果/期待される効果等

cmapでは、SNSのテキスト・画像を解析して表示する、JX通信社のFASTALERTサービスと連携し、気象・災害・ライフラインと判別されたSNS情報(映像・画像・テキスト)をcmap上でも共有するサービスを提供している。

各地の危険な状況を被災前からほぼリアルタイムで確認できる防災・減災ソリューションとして、地域の安全を担う地方公共団体・警察・消防・自衛隊のDX推進の支援に貢献することが期待される。また、緊迫した映像等が行動変容のきっかけとなり、逃げ遅れの防止につながることが期待される。

迅速な救助・支援活動に貢献し、防災・減災につながる点が高く評価され、第29回地球環境大賞において「大賞」を受賞した。

被災建物予測棟数、被災件数率の表示イメージ
図1 被災建物予測棟数、被災件数率の表示イメージ
水災に関わる警戒レベル3、4、5の可視化
図2 水災に関わる警戒レベル3、4、5の可視化
被害予測アプリcmap 画面のイメージ
図3 被害予測アプリcmap 画面のイメージ

脚注
(注1) エーオングループジャパン株式会社、横浜国立大学との共同研究により開発
(注2) 2019年6月あいおいニッセイ同和損保調べ

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