Seafish Industrial Authority
漁業機構
気候変動影響のリスク評価(Sensing)と適応策の抽出(Responding)
掲載日 | 2016年12月2日 |
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分野 | 農業・林業・水産業 / 自然生態系 / 自然災害・沿岸域 |
会社概要
漁業機構は、英国の水産業の持続可能な発展と利益算出を目的として、水産税を基に設立された非政府公共機関である。
適応に関する取組の概要
気候変動影響のリスク評価(Sensing)と適応策の抽出(Responding)
- 国内・国外における、沖合への影響(沖合漁業や水圏環境への影響等)と、陸地への影響(水産加工業や養殖業への影響等)の観点から気候変動影響のリスク評価が行われている。
- リスク評価にあたっては、国内外の学術論文のレビューや水産関係者らのこれまでの経験・認識を、水産業もしくは漁業機構に対する影響の重要度(Importance)・影響の発現時期(Proximity)の2つのリスク評価指標に基づいて点数化し、合計が6点以上のものを優先度の高いリスク(Confidence)として評価している。
表1. 気候変動影響のリスク評価(Sensing)における評価指標及びその点数 マイナス・プラスの影響ともに4段階で影響の重要度を評価し、影響の発現時期に関しては、現在から今後50年以上の4段階で評価している。
- 評価の結果、沖合・陸地両方に関わる重大な気候変動リスクとして、時系列順に特定している。
- 現在既に確認されているリスク:
暴風や高波により、港のインフラが被害を受けるリスク。海水温の変化により、漁獲高(特にタラや、商用魚)が変化するリスク。 - 今後20年以内に生じ得るリスク:
降雨量の変化により、陸地のインフラ被害、降雨流出、及び水質が変化するリスク。 - 今後50年以内に生じ得るリスク:
水位の上昇により、陸地の防波対策の負担が増加するリスク。海水の酸化・貧酸素化により、漁獲高(特に貝類)が減少するリスク。
- 現在既に確認されているリスク:
- 適応策の抽出では、上記で特定した気候変動リスクを踏まえ、国内外の学術論文のレビューや、水産関係者へのインタビュー、ワークショップ、漁業機構とその関係機関の専門家らによる協議、及び本報告書のドラフトに対するフィードバック等を基に、適応策を抽出している。
表2. 適応策の抽出(Responding)取りまとめ表の一部 左から、適応策の実施時期(実施中、2年以内、2~5年以内に実施など)、関係するシステム(漁業、コミュニティ、港湾など)、適応策、適応策の実施主体、適応策の実施に必要な資源(少ない~非常に大きいの4段階)を示している。
- 適応策として挙げられているものの例としては、水産関係者へのTAC制度(魚種毎に漁獲可能量を定めた制度)やクオータ制(漁獲割り当て制度)の周知徹底や、漁師への安全講習の実施、港の緊急時対応策の策定、強靭な港建設のための財政面での援助、漁獲高の変化による物流変化のモニタリング調査等がある。