シナリオ分析による財務的影響の開示

株式会社 丸井グループ

業種:卸売業、小売業 / 金融業、保険業
掲載日 2022年10月11日
適応分野 産業・経済活動

会社概要

株式会社 丸井グループロゴ

株式会社 丸井グループは小売事業、フィンテック事業をおこなうグループ会社の経営計画・管理などを行っている。当社は1931年の創業以来、小売・金融一体の独自のビジネスモデルを、時代やお客さまニーズの変化に合わせて、革新・進化させてきた。お客さまに寄り添い共感して培ってきた「信用の共創」と「革新と進化」の創業の精神を持ち続けている。

気候変動による影響

当社は、気候変動による世界的な平均気温が4℃上昇すると、社会に甚大な影響を及ぼすと認識しており、気温上昇を1.5℃以下に抑制する動きに貢献していくと同時に、気候変動が進行した際の気候関連リスクと機会がもたらす事業への影響を適切に把握し、戦略の策定を進め、対策を強化していくことが求められている。

取り組み

当社は、2018年11月に日本の小売業界で初めて「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同した。気候変動が事業に与えるリスクや機会についての分析に着手し、当社グループの有価証券報告書や統合報告書、ホームページ、 ステークホルダーの皆さまとのエンゲージメントなどを通じて、情報開示に取り組んできた。
シナリオ分析においては、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)など世界の専門機関が描く3つのシナリオに基づき(図1)、前提要件のもと(図2)、2050年までの期間内に想定される利益への影響額を「物理的リスク」「移行リスク」「機会」ごとに算定した(図3)。

  • ① 平均気温の上昇が4℃以上の世界
  • ② 気温上昇がパリ協定に準じた2℃未満の世界
  • ③ IPCCの「1.5℃特別報告書」が描く1.5℃以下の世界

その結果、「物理的リスク」としては台風・豪雨などによる水害による店舗の営業休止による不動産賃貸収入などへの影響、浸水による建物被害およびシステムダウンによるグループ全体の営業活動休止の影響が確認された。
「移行リスク」では③の世界において、「物理的リスク」よりも影響が強くなると判断しているが、1.5℃以下に抑制されたとしても急性的に台風・豪雨などでの水害は発生しうると予測している。
「機会」については、消費者の環境意識の向上やライフスタイルの変化に影響が及ぶと予測しており、当社の事業特性を踏まえた、さまざまなサステナブルな取り組みが機会になると想定している。また、再生可能エネルギーの拡大にともなう電力市場の変化や政府の環境政策などに対応していくことで、新たな機会が創出できると考えている。

効果/期待される効果等

シナリオ分析により、特定された気候変動リスク・機会については、サステナビリティ推進体制の下、戦略策定・個別事業運営の両面で管理していく。

企業戦略に影響する気候変動を含めた世の中の動向や法制度・規制変更などの外部要因を引き続き把握しつつ、グループ各社の施策の進捗状況や今後のリスク・機会などの内部要因を踏まえて、戦略・施策などの検討を実施していく。

図1 3つのシナリオ分析と想定されるリスク

図2 シナリオ分析の前提条件

図3 気候変動によるリスクおよび機会

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