Bournemouth Water
ボーンマス水道

上水道供給会社による気候変動の将来予測結果を活用した気候変動影響のリスク評価

掲載日 2016年12月2日
更新日 2017/6/21
分野 水環境・水資源 / 自然災害・沿岸域 / 産業・経済活動 / 国民生活・都市生活

会社概要

英国でも有数な上水道供給会社であり、南西イングランドで2番目に大きい都市である南西ドーセット州を中心に184,000世帯、給水管の長さにして2,787 kmの地域に給水している。

ボーンマス水道

適応に関する取組の概要

気候変動影響の把握とリスク評価

[手法]

  1. 英国水協会(The Water UK)が作成している、水道事業への影響を一覧化した「アセットマネジメントによる気候変動適応へのアプローチ」から「気候変動の要素」と「影響」を複数抽出。
    [気候変動の要素]
    - 干ばつ :降雨量の減少、地下水の減少、土壌水分量の減少
    - 気温上昇 : 最高気温の上昇、平均気温の上昇、蒸発量の増加
    - 洪水 : 激しい降雨、地下水の増加、土壌水分量の減少
    - 海面上昇と高潮
  2. 将来の気候予測については、英国気候予測2009(UK Climate Projection 2009:UKCP09)の中程度の気候変動シナリオによる予測結果を使用。
  3. 水源、水質、インフラ、企業サービスのビジネス要素ごとに、「影響の大きさ(Impact)」と「影響が生じる可能性(Likelihood)」の2つの観点から点数付けし、リスク評価を実施。

[結果]

リスク評価の結果、重大な影響として特定されたリスクは以下の通りである。

表1. リスク評価の結果、重大な影響として特定されたリスク
ビジネス要素 気候変数 影響 対応策
水源 干ばつ ・利用可能な原水の減少
・河川水、地下水の減少
・最大需要量の変化
水源マネジメント計画2014
気温上昇 ・水道水需要量の増加 水源マネジメント計画2014
洪水 ・利用可能な水源の消失
・土壌上層が圧縮されることで地下水の涵養が減少
経営計画2014
水質 干ばつ ・原水の流入量の減少
・原水が断続的に流入することによる処理設備の不具合
検討中(2015/7時点)
気温上昇 ・原水の藻類の増殖 検討中(2015/7時点)
洪水 ・原水の水質低下 検討中(2015/7時点)
インフラ 干ばつ ・火災の増加に伴って配水管内水量の不安定化
・土壌水分量低下による、地下の配管の破損
検討中(2015/7時点)
気温上昇 ・施設耐用年数の低下
・処理能力の低下
検討中(2015/7時点)
洪水 ・施設設備の故障
・施設の電源の停止
経営計画2014

気候変動影響に対する適応策

上記の特定されたリスクに対する適応策として、以下を挙げている。

  1. 水源マネジメント計画2014(Water Resources Management Plan: WRMP14)
    • 消費者に対する教育(学校・イベント・オンライン)により、水需要量削減を促進する。
    • 漏水率の低減を図り、水供給量を確保する。
    • 各戸へ水道メーター導入することにより、意識を向上させ、水使用量削減を促進する。
  2. 経営計画2014 (Company Strategic Business Plan: BP 14)
    • 気候変動影響のリスク評価実施後、適応策(設備の更新等)の実行に必要な費用を算出し、経営計画を作成する。

進捗管理

リスク評価や適応策の進捗管理の頻度について、以下を挙げている。

表2. リスク評価や適応策の進捗管理の頻度
活動 頻度
リスク評価と適応策のレビュー 2年に1度
関連する基準(規格)や政策目標のレビュー 必要に応じて
経営計画(BP)の作成 5年に1度
水源マネジメント計画(WRMP)の作成 1年に1度
水安全計画のレビュー 1年に1度

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