Highways Agency
英国道路庁
脆弱性のリスク評価に基づく適応策の検討
掲載日 | 2017年4月14日 |
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分野 | 自然災害・沿岸域 / 国民生活・都市生活 |
組織概要
英国道路庁は、一日あたり交通量が20万台の高速道路から1万台未満の幹線道路まで、約6920 kmに及ぶ英国内の道路の運営維持管理、改善を担う組織である。2015年4月より政府企業として運営されている。
適応に関する取組の概要
気候変動のリスク評価
- 気候変動の適応に関する戦略枠組を作成し、設計基準・仕様、日常保守、運営業務、危機管理計画といった業務全般に気候変動への対応を組み込んでいる。
図1 適応に関する枠組
(いちばん上から、1.組織目標・意思決定基準の明示、2.業務に影響を及ぼす気候傾向の特定、3.脆弱性の特定、4.リスク評価、5.対策オプションの分析、6.適応アクションプランの作成・実施、7.適応プログラムのレビュー。)
出典- Highways Agency Climate Change Risk Assessment, 2011, p.17
- 道路設備や道路利用者に影響の生じる可能性がある気候変動の特定は、英国気候影響プログラム(UK Climate Impacts Programme 2002: UKCIP02)、英国気候予測(UK Climate Projections 2009: UKCP09)による気候変動の予測結果を参考にしている。
- 気候変動の影響が生じる可能性がある業務を脆弱性と定義し、脆弱性の一覧を作成している(表1)。
- 脆弱性を舗装道路、構造物、土木、排水設備等の業務分野別に整理し、それぞれリスクを文章化している。リスクを不確実性、影響が及ぶ範囲、影響の重大性、影響が出るまでの期間の四つの評価基準により点数付けし、適応策を検討する優先順位をつけている。
表1 脆弱性の一覧(一部抜粋)
(左から活動カテゴリ、業務分野、業務内容、一次的な気候変動、気候変動による二次的影響、リスクの内容、リスク評価の点数)
出典- Highways Agency Climate Change Risk Assessment, 2011, p.33
- 脆弱性のリスク評価より、適応策を検討する優先度の高い項目は以下の通りである。
- 舗装道路:すべり抵抗、材料の健全性
- 構造物:基礎部分の洗掘リスクの高まりを考慮した設計・維持管理、風荷重による上部構造物への影響を考慮した設計・維持管理
- 土木:既存の地滑り対策
- 排水設備:地表排水システム、浄化、排水口
適応計画の策定
- 構造物、舗装道路、土木、排水設備等の各分野を含む適応計画を策定する予定である。脆弱性に伴うリスクへの対応策を複数検討し、効果や費用等の面から比較した上で適切な対応策を決める予定である。