National Health Service England
イングランド国民保健サービス
気候変動影響が人とサービスに与える影響の整理とそれらリスクに対する対応策の検討
掲載日 | 2016年12月2日 |
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分野 | 自然災害・沿岸域 / 健康 / 産業・経済活動 / 国民生活・都市生活 |
会社概要
イングランド国民保健サービスは英国の国営医療サービス事業であり、利用者の健康状況や経済的な支払い能力に関係なく、全国民を対象に原則無料で医療サービスを提供している。
適応に関する取組の概要
健康保護庁(Health Protection Agency)が作成した、「英国における気候変動による健康への影響(Health Effects on Climate Change in the UK)」に関する報告書と、環境・食料・農村地域省(Department for Environment, Food and Rural Affairs)が作成した英国気候変動リスク評価報告書(UK Climate Change Risk Assessment)を参考に、気候変動影響によって生じ得るリスクを整理し、それぞれのリスクに対する対応策を検討している。
気候変動影響とリスクの把握
気候変動リスク(夏季の気温上昇、洪水、低温、生態的影響、社会的影響の5種類)に対して、それらリスクが「人に与える影響」と「サービスに与える影響」の2種類を整理している。
表1. リスクの概要表
左端の縦は気候変動リスク(夏季の気温上昇、洪水、低温、生態的影響、社会的影響)、 横はリスクが「人に与える影響」と「サービスに与える影響」を示している。
主な影響としては、以下が挙げられている。
人に与える影響
- 夏季の気温上昇・紫外線照射量の増加により、罹病率と死亡率が高まるリスク
- 夏季の気温上昇によって、大気汚染(地表面のオゾン量、花粉量の上昇)が悪化するリスク
- 洪水により、死亡・怪我が増加するリスク、また精神的な健康に悪影響を与えるリスク
- 水系感染症・病原媒介生物による感染症や、食品を媒介した感染症が増加するリスク
- 紫外線照射量の増加により、皮膚癌を患う可能性が増加するリスク
サービスに与える影響
- 営業時間外に医療のニーズが増加するリスク
- 様々な疾病をモニタリングする必要性が増加するリスク
- サービスの提供に必要な費用が増加するリスク
- 洪水により、患者を搬送する道路が利用できなくなるリスク
気候変動影響への対応策
リスクに対する対応策は、既存の関連する報告書の情報とともに示されている。例えば、夏季の気温上昇のリスクに対しては、英国公衆衛生庁(Public Health England)の報告書に基づき、以下のような対応策を提示している。
図1. 夏季の気温上昇、特に熱波の発生時に取るべき対応策(参考)