Port of London Authority
ロンドン港湾局
5×5の評価指標(five by five matrix)による気候変動影響のリスク評価の実施
掲載日 | 2016年12月2日 |
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分野 | 自然災害・沿岸域 / 国民生活・都市生活 |
会社概要
ロンドン港湾局は、テムズ川やその支流において、航法の執行や水先案内を行う公共機関である。港湾区域は、西のテディントンロックから東のテムズ川入り江までであり、全長は約150kmである。英国で2番目に大きな港であり、管理下にあるテムズ川は、英国で最も大きな内陸水路である。
適応に関する取組の概要
気候変動影響のリスク評価
- 2011年に英国気候予測2009(UK Climate Projection 2009:UKCP09)の将来予測結果を使用し、気候変動影響のリスク評価を行っている。
- リスク評価では、5×5の評価指標(five by five matrix)を用い、気候変動影響の重大性と、影響の発現時期を指標として、点数付け(それぞれ1~5点)することにより評価している。
- 下表のように、点数の合計が12点以上を重大なリスク(赤色)、6点以上を起こりうるリスク(黄色)、5点以下を起こりうる可能性が低いリスク(緑色)としている。
表1. 5×5評価指標(five by five matrix)の解説図 縦は影響の重大性、横は影響の発現時期
- 合計で38の気候変動リスクを抽出・評価しており、その内14を起こりうるリスク(黄色)、24を起こりうる可能性が低いリスク(緑色)として特定している。重大なリスクとして特定されたリスクはなかった。起こりうるリスクとして特定されたリスクとして、以下が挙げられている。
- 水位の変化、洪水、土砂災害等により、物理的にインフラに影響を与えるリスク
- 水路を利用する人や観光客の港湾の利用方法が変化するリスク
- 霧や強風により、港湾が混乱するリスク
表2. 気候変動リスク評価の表の一部
縦はリスク、横は左から、関連する場所(上流、下流など)、影響が生じる対象(企業の運営、企業の評判など)、リスク評価結果、必要な対策(モニタリング、意識啓発など)、対策の詳細
- 2015年には、各事業部長が参加するワークショップを開催し、気候変動リスク調査結果の見直しや討論が行なわれている。
気候変動影響への対策及びモニタリング手法
- 適応策の検討方法や影響のモニタリングに関しては、以下のような取組が行われている。
- テムズ区域市政局と協同して外部リスク委員会(External Risk Committee)を設置し、適応策の検討を行っている。
- 適応策の進捗管理については、外部のリスク委員会の評価後、ロンドン港湾局役員が再検討を行う手法が取られている。
- ロンドン港湾局は、定期的に潮位、霧、水深測量を行なっており、これらのデータが影響のモニタリングに使用されている。