インタビュー地域気候変動適応センターVol.18 福岡県

福岡県気候変動適応センター

福岡県の地域特性、センター設置の経緯や組織体制についてお聞かせください。

第1次から第3次までの多様な産業がバランスよく集積する福岡県は、温暖な気候で、医療環境など充実した都市機能を有しながらも豊かな自然があふれ、新鮮で豊富な海の幸・山の幸に恵まれるなど、快適で魅力的な環境があります。一方で、近年は夏季の集中豪雨による大規模災害が頻発し、気候変動の影響が顕在化しています。

センター設置に向けての検討は平成30年度に開始し、令和元年8月に福岡県保健環境研究所内に設置しました。保健環境研究所は県の出先機関で、県民の健康と快適な環境を守るために試験・研究を行っている組織です。福岡県農林業総合試験場や福岡県水産海洋技術センターといった県の試験研究機関や、国立環境研究所や国立感染症研究所といった国の研究機関と日頃から交流があり、これらの機関と連携が行いやすいということで保健環境研究所内に設置されました。

センター長は保健環境研究所長、センター次長は環境科学部長が務め、企画情報管理課に事務局を置き、企画情報管理課員2名の計4名が兼務で担当しています。

福岡県の地図

地域適応センターの活動内容について、現在取り組まれていることや今後予定されていることなどがあれば教えてください。

福岡県における気候変動適応について関係者間で情報を共有するため、また、専門家の助言・提言により福岡県における効果的な適応策の推進を図るために福岡県気候変動適応推進協議会を年に2回開催しています。加えて、気候変動適応について多くの皆さんに知っていただくため、ホームページを使って情報提供を行っています。ホームページには、協議会の報告の他、気候変動影響や適応に関する様々な情報を掲載しています。その中でも、令和元年度に行った気候変動の影響と適応策に関する調査結果は網羅的に情報を掲載しており、分野別や地域別、フリーワードで検索して見ることができるようにしています。さらに、皆さんに気軽に気候変動情報や適応に関する情報に触れてもらえるようパンフレットの作成も行いました。気候変動影響や適応に関する情報、関係機関へのインタビュー等を掲載しており、環境イベントの際に配布しています。パンフレットはホームページに電子ファイルで掲載していますので、ぜひご覧ください。

令和3年度には、適応と緩和の両輪での活動に重点を置くため、福岡県地球温暖化防止活動推進センター(以下、温防センター)と連携しながら活動を進めています。以前から活動を行っている温防センターは、普及啓発活動において様々なノウハウや県民の皆さんとの接点を持っていますので、一緒に活動し普及につなげていきたいと思っています。また、研修会や講演会に呼んでいただく機会も増えてきました。引き続き、関係機関の皆さんにご協力をいただきながら、気候変動適応を推進していければと思っています。

庁内関係部局との連携や県、事業者の適応推進において工夫されている点や課題などありましたらお聞かせください。

庁内関係部局との連携は主に県庁環境部環境保全課が行っています。環境保全課では、以前から地球温暖化対策施策連絡調整会議を定期的に開催し庁内関係部局との連携を図っています。また、福岡県気候変動適応推進協議会には庁内関係部局に加え、政令市、中核市にも参加いただいています。

事業者の適応推進については、現時点ではまだ取り組めていません。今後どのように進めていくか、国の気候変動適応センターに相談しながら検討を進めていきたいと思います。

現在の業務に携わるやりがい、今後の展望をお聞かせください。

最近では、マスコミ等でも気候変動について取り上げられる機会が増えてきました。気候変動による影響と考えられる災害も増え、適応の重要性も知られるようになってきたと感じています。今後発生すると予測されている様々な影響を多くの人に知ってもらい、備えてもらうきっかけになればと思っています。そのためには、当センターでは、情報収集やわかりやすい情報の発信に努めていきたいと思います。

この記事は2021年12月7日の書面による回答に基づいて書いています。
(2022年3月18日掲載)

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