インタビュー地域気候変動適応センターVol.22 長野県

信州気候変動適応センター

長野県の地域特性、センター設置の経緯や組織体制についてお聞かせください。

長野県では県研究機関である環境保全研究所において、主に県内の気候変動の実態把握と自然環境への影響について調査研究を行っています。地方気象台などの県内他機関の気象情報を一元的に収集する目的で信州・気候変動モニタリングネットワークを構築しています。また、企業や市町村と気候変動影響に関する情報を共有し適応策を創出する信州・気候変動プラットフォームを構築しています。これら2つの総合的な窓口として信州気候変動適応センターを設置しています。

長野県の地図

地域適応センターの活動内容について、現在取り組まれていることや今後予定されていることなどがあれば教えてください。

適応センターの活動は4つあります.1)気候変動の実態や予測など適応の基盤となる情報の整備.2)HPやサイエンスカフェなどを通じた市民等への情報の発信.3)企業や市町村等への適応策の創出支援.4)地域気候変動適応計画の進捗管理,です.また,気候変動に脆弱な高山生態系への影響の把握,果樹の凍霜害リスクへの早期対応,豪雨や豪雪と関連した土砂災害の影響予測,学校における児童の熱中症対策などについて現在研究を進めています。市町村の地域気候変動適応計画策定について情報提供や相談等の支援も行っています。今後は、令和3年6月8日に長野県ゼロカーボン戦略と併せて策定した第一次長野県気候変動適応計画について市町村や企業等と協働しながら実行していきます。

庁内関係部局との連携や県、事業者の適応推進において工夫されている点や課題などありましたらお聞かせください。

庁内関係部局との連携としては、果樹の凍霜害リスクへの早期対応のため、県農業試験場や果樹試験場と精度の高い予報情報の提供や将来の凍霜害リスクなどについて情報の共有や意見交換を行っています。また県内市町村の適応推進においては、これまで3市1町の地域気候変動適応計画策定に際して当該市町村を含む範囲の気候変動予測や影響に関する地図を提供しています。

現在の業務に携わるやりがい、今後の展望をお聞かせください。

令和元年東日本台風の影響や近年の夏季の高温と冬の少雪などによって気候変動への関心が高まっていると感じています。これをきっかけとして緩和策と同時に適応策の重要性を多くの人たちに伝えていきたいと考えています。

この記事は2022年1月20日の書面による回答に基づいて書いています。
(2022年3月29日掲載)

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