インタビュー地域気候変動適応センターVol.23 北海道

北海道気候変動適応センター

北海道の地域特性、センター設置の経緯や組織体制についてお聞かせください。

北海道は日本列島の最北に位置し、面積は83,424km2(令和2年1月1日現在)で、国土の約22.1%を占めています。山地が全体のほぼ半分を占めていますが、全国と比較すると山地や傾斜地が少なく、なだらかな土地が多いのが特徴です。

北海道では地勢や冷涼な気候、周辺を囲む3つの特性ある海が農業・林業・水産業を育て、良質な食資源を生んでいます。また、様々な自然公園に生息する動植物、厳しい冬の町並みを覆う雪景色、良質なパウダースノーを活かしたスキーリゾート、道東に現れる流氷など、国内でも北海道でしか体験できない貴重な自然の素材が魅力的な地域です。

一方で、平成28年8月の相次ぐ台風の上陸や平成30年7月の梅雨前線停滞などにより、道民生活や産業に大きな被害がもたらされるなど、気候変動の影響は本道においても顕在化しつつあります。

北海道気候変動適応センターは、こうした影響に対処し、適応の取組推進に向けて必要な情報の収集、整理、分析及び提供や技術的助言を効果的に行うため、令和3年4月に設置したものです。

センターは道庁(環境生活部ゼロカーボン推進局気候変動対策課)が事務局を担い、(地独)北海道立総合研究機構(以下「道総研」)及び(公財)北海道環境財団をはじめとする関係機関からの協力を得て運営しています。

北海道の地図

地域適応センターの活動内容について、現在取り組まれていることや今後予定されていることがあれば教えてください。

今年度は、情報収集活動として道内市町村を対象に、地域で生じている気候変動影響や取り組んでいる適応策、地域の強みなどについてアンケート調査を実施しました。14カ所の道の振興局や市町村担当者のご協力により、179市町村すべてから回答を得ることができました。アンケートの結果、44%の市町村が現在気候変動による影響を受けていると感じている一方で、今後の影響を懸念する市町村は65%に上り、多くの市町村が将来的な影響を意識していることが把握できました。(アンケート結果はこちら

情報提供活動としては、適応ポータルサイトを作成し、道総研や道内大学の協力により収集した道内の気候変動影響や適応に関する研究論文等情報、事業者の取組事例等を発信し、市町村や事業者向けにメールニュースを配信(1回/月)しています。

技術的助言としては、環境省と共催した市町村向けの適応セミナーなどにおいて、地域適応計画の策定について助言しているほか、庁内や研究機関などの施策や研究の参考となる情報を整理して送信したり、昨年9月以降に北海道太平洋沿岸で発生した赤潮被害について、国環研などと連携しながら気候変動との関連性について庁内関係部局等に知見を提供しています。

アンケート調査については今後も継続して実施したいと考えており、来年度以降は農協や漁協などの業界団体等を通して特定の業種の事業者を対象としたアンケートや、道民へのアンケートなど、ターゲットを変えながら様々な主体の声を聞きたいと考えています。

また、調査で得られた結果等も活用しながら、情報発信についてもさらに充実させていきたいと考えています。

庁内関係部局との連携や道、事業者の適応推進において工夫されている点や課題などありましたらお聞かせください。

庁内には知事をトップとした「北海道気候変動対策推進本部」があり、気候変動対策について、関係部局が連携して推進する体制を構築しています。

今年度から本部の下に、特に部局間連携が必要なテーマについて、PT(プロジェクトチーム)とその下のWG(ワーキンググループ)を設置し、適応については庁内各部が行う施策や研究に適応の視点を組み込むための体制の構築や、適応をチャンスと捉えた適応ビジネスの推進に向けた検討を行いました。

課題について、道内における適応の推進体制はまだまだ不十分と感じています。昨年7月に実施したアンケートでは多くの市町村が気候変動影響を意識している一方、道内市町村における適応計画の策定数は4件となっており、人員や優先度など様々な課題があることもわかりました。センターとしても地域の実情に応じた科学的知見の提供や技術的助言などの支援を行い、適応の取組促進につなげていきたいと考えています。

現在の業務に携わるやりがい、今後の展望をお聞かせください。

道では、気候変動問題に長期的な視点で取り組むため、2020年3月に「2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す」ことを表明し、再生可能エネルギーと森林などの吸収源の最大限の活用により、脱炭素化と経済の活性化や持続可能な地域作りを同時に進める「ゼロカーボン北海道」の実現を掲げ、取組を進めています。

ただ、脱炭素社会への移行が急務とされる一方で、緩和策を強力に推進してもある程度の気温上昇は避けられないと言われており、想定される影響としては、熱中症の増加のような比較的わかりやすいものだけではなく、産業や災害リスクなど幅広い分野に及ぶことから、これらの影響を回避・軽減するため、適応を推進することは非常に重要と考えています。

センター機能を活用し、道の施策や研究に適応の視点を組み込んでいくとともに、市町村・事業者・道民に対する情報提供、普及啓発や技術的助言を通して、頼りになる適応センターを目指していきます。

この記事は2022年1月31日の取材に基づいて書いています。
(2022年3月31日掲載)

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