インタビュー地域気候変動適応センターVol.27 東京都

東京都気候変動適応センター

東京都の地域特性、センター設置の経緯や組織体制についてお聞かせください。

東京都は関東平野に位置し、東京湾に臨む区部と中・西部の多摩地域 、伊豆・小笠原の島しょ部からなっています。島しょ部を除くと、西部の山地、中部の丘陵、東部の台地と低地に分かれます。西部の山地は秩父山地と丹沢山地からなる標高1,500~2,000mの関東山地で、中部は埼玉県にまたがる狭山丘陵、神奈川県三浦半島基部まで広がる多摩丘陵などからなっています。東部の台地は関東ローム層に覆われた武蔵野台地で、区部の山手地区は、台地と低地が入り組んだ起伏のある地形です。

また、多摩川、荒川、江戸川などの河川が東京湾に流れ込んでいます。太平洋上には、伊豆諸島、小笠原諸島の火山島群が南北に長く点在しています 。

島しょ部を除く東京の気候は、太平洋岸気候区に分類されます。その特徴としては、夏の高温多湿と冬の少雨乾燥があります。太平洋の島々は黒潮にあらわれ、冬季も温暖な海洋性の気候で、南部では亜熱帯性気候が見られます。また、台風の影響を多く受ける地域でもあります。

社会的な特徴としては、東京の人口は約1,400万人で、高齢化率は23.5%です。今後、全国の後を追うように高齢化が進行していくと予想されます。産業構造は、第三次産業が約9割を占め、産業分類で見ると卸売・小売業の割合が大きくなっています。

東京都では、令和元年12月に東京都気候変動適応方針が策定され、令和3年3月には、東京都気候変動適応計画が策定されました。当センターは、令和4年1月1日、東京都と公益財団法人東京都環境公社の協定に基づき、都市のヒートアイランド対策の研究などを行ってきた東京都環境科学研究所内の組織として設置されました。気候変動に関する情報収集や自治体への情報提供・助言、都と連携した都民、事業者向け普及啓発を主な役割としています。センター長、係長、主任、特任研究員の4名体制です。

地域適応センターの活動内容について、現在取り組まれていることや今後予定されていることがあれば教えてください。

主な取組として、普及啓発と自治体向け支援があります。都民向けの普及啓発として、区市町村の環境フェアなどにブース出展し、気候変動適応に関する周知を図っています。

「適応」の認知度向上のため、普及啓発コンテンツの充実や、これからを担う子どもたちへの普及啓発を拡充していくことを検討しています。

区市町村向けの支援としては、手始めにヒアリングを行い、地域気候変動適応計画の策定状況や普及啓発における課題の把握・整理に努めています。令和4年度は、環境省と共催で、区市町村職員向けの勉強会・意見交換会を開催したので、その結果を踏まえつつ、来年度以降は、内容の更なる充実を目指していく予定です。

庁内関係部局との連携や都、事業者の適応推進において工夫されている点や課題などありましたらお聞かせください。

東京都とは、庁内の東京都気候変動適応計画推進会議に参加し、連携を図っています。具体的には、センターが実施する普及啓発において、各局の適応策を積極的に周知していくことを予定しています。適応策の実施部署は、多くの部署にまたがることから、適応という視点を踏まえた普及啓発について理解を深めていくことは今後の課題と考えています。

現在の業務に携わるやりがい、今後の展望をお聞かせください。

「適応」という言葉の認知度が低いことは、イベント等の普及啓発の場面において感じるため、多くの都民の方に知っていただくのは容易ではありませんが、意義のあることと考えています。都民一人ひとりが気候変動適応策を実施するために、まずは適応について一人でも多くの方に知っていただくことが目標です。

また、区市町村に対しては、情報提供を通じて地域気候変動適応計画の策定を支援するなど、気候変動適応策の推進を後押ししていきたいと考えています。

東京都環境科学研究所外観写真
この記事は2022年9月26日の書面による回答に基づいて書いています。
(2022年10月21日掲載)

ページトップへ