インタビュー所沢市気候変動適応センターVol.29 所沢市

所沢市気候変動適応センター

所沢市の地域特性、センター設置の経緯や組織体制についてお聞かせください。

所沢市は、都心から30kmの首都圏にあり、武蔵野台地のほぼ中央、多摩北部に接する埼玉県南西部に位置しています。利便性の高い都市環境もありながら、雑木林や大規模な樹林地、市街地の公園緑地など、様々なみどりが共存する、埼玉県南西部の中心都市「よきふるさと所沢」です。

所沢市では、令和4・5年度の二箇年をかけて、市の環境基本計画である「所沢市マチごとエコタウン推進計画(第3期所沢市環境基本計画)」の中間改定を進めています。この中間改定と同時に、「(仮称)所沢市気候変動適応計画」を策定する予定になっており、計画策定後に適応策をより一層推進していくべく、令和4年4月1日に所沢市気候変動適応センターを埼玉県と共同で設置いたしました。設置したといっても、マチごとエコタウン推進課職員数名が兼務で業務を行っている、非常に小さな適応センターです。各適応策所管課と連携を図りながら、大きく成長できたらと思っております。

地域適応センターの活動内容について、現在取り組まれていることや今後予定されていることがあれば教えてください。

現在の主な取組は、「(仮称)所沢市気候変動適応計画」の策定作業が中心です。同計画にどういった適応策を盛り込んでいくか、どのように推進していけるのか、各課との調整が大きな課題となっていますが、各課との連携を今後進めていく上で、強固なつながりを作っていくことは非常に重要だと感じていますので、次につながる大事な作業として、丁寧に策定作業を進めていくことを意識しています。

また、市の大規模なイベントである「所沢市民フェスティバル」にて、適応に関する展示を行いました。市域における平均気温の上昇予測や、どのような気候変動影響があるか、自分でできる適応策を図やイラストで示しながら、「あなたが感じている気候変動」を書いてもらう、という内容です。子どもにとっては少し難しい内容だったと思いますが、適応を知ってもらい、身近に感じてもらえるきっかけになったと思っています。

今後は、計画策定作業を進めつつ、ホームページやSNSを通じた広報活動に力を入れていきたいと思っています。まだ「気候変動適応」という言葉を知らない方もたくさんいらっしゃいますし、説明しても「もう温暖化は食い止められないから、適応するしかないのか…」とネガティブな印象を受けるという声も聞こえてきます。「適応策」は自分の命や生活を守る上で大切な取り組みであると同時に、逆にビジネスチャンスにもなりうるなど、前向きな情報発信なども積極的に行っていきたいと考えています。

庁内関係部局との連携や市、事業者の適応推進において工夫されている点や課題などありましたらお聞かせください。

市の適応計画の策定作業を進めるにあたり、各課に対するヒアリングを行うための準備として、各課で行っている事業をよく調べ、潜在的適応策となりうる策をお示しできるように意識して情報収集している点です。調べてみると、ハザードマップの作成や熱中症予防の周知など、適応策と言える基本的な取り組みはすでに行っていることが多々あります。本当に重要なのは、計画策定後に部局間で協力しながら適応策を推進していくことだと思っております。そのためには、適応策としてさらに推進していきたいという部局間の共通認識を持つことと、推進していくための風通しのよい関係づくりが必要だと思いますので、その土台作りをしているところです。

また、事業者向けの適応推進のアクションとしては、計画改定の基礎調査の一環で事業者向けの意識調査を行ったのですが、その中で気候変動適応に関する設問を盛り込みました。詳細な分析はこれからですが、電力需給ひっ迫や豪雨などに対する危機的意識が高いという印象を受けています。事業者にとっては、事業活動を継続する上でのファクターが確保できる環境づくりが重要なのだと思いますので、市の重要な産業や市民の経済活動を守る施策を打ち出していくことも、市の適応策の大きな役割であると感じています。また、今回の事業者向け意識調査を行ったことで、市の産業経済部門の職員にも自然と関心を持たれたようでした。今後は可能な限り引き続き事業者のニーズを把握しながら、市の産業経済部門と連携することで、事業者との協働の輪を広げていくことが課題であり、期待しているところです。

現在の業務に携わるやりがい、今後の展望をお聞かせください。

適応策は環境分野だけで完結するものではないため、様々な部局と対話しながら推進していかねばならないと思いますが、その分、様々な部局や組織、人とネットワークを築いていけることにやりがいを感じています。関われる人が増えるほど、その方から多くを学び、自分の成長にもつなげられるのではないかと期待しています。

今後の取組を発展させていく中では、市民や事業者に伝えるべき情報の収集、分かりやすい情報発信、他部局との適応策の推進など、ひとつひとつを丁寧に進めていきたいと思っています。そして、他部局の職員にも、市民や事業者にも「気候変動の影響で困ったら適応センターに聞いてみよう!」と思っていただける、身近なセンターに成長することを目指したいと考えています。

この記事は2022年11月1日の書面による回答に基づいて書いています。
(2023年1月6日掲載)

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