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インタビュー地域気候変動適応センターVol.6 那須塩原市

適応を通して市民の幸せな街づくりに貢献する

取材日 2020/8/6
設置機関 那須塩原市 気候変動対策局
対象 那須塩原市戦略推進局 亀井雄政策審議監
気候変動対策局 黄木伸一局長
相楽尚志主幹、田端政昭主査、吉田郁哉主査、岡野祐児主任

設置背景

那須塩原市気候変動適応センター設置の経緯を教えてください。

黄木局長:本市では令和2年3月に地域気候変動適応計画を策定するとともに、4月には気候変動対策局を新設し、市役所内に庁内横断的な組織として、地域気候変動適応センターを位置付けました。センターの事務局は、当局が担っています。局には現在5名の職員が在籍し、緩和と適応をそれぞれ2名で担当しています。今年度は、センターとして庁内16課を対象に実態調査を行うとともに、適応推進責任者となっている関係課長を対象とした適応推進会議を3回実施する予定です。

相楽主幹:気候変動による影響について各課にヒアリングを行ったところ、適応という言葉に馴染みがなく、部署によって認識の差があると感じました。今年度4月に実施した推進会議では、そうしたニーズに応えるための研修も行っています。各課の既存施策が適応策に資するということを伝えています。今年度から受託した環境省「国民参加による気候変動情報収集・分析事業」では、各課の職員にも調査に協力いただくことを検討しています。これらの業務を通して、庁内で少しずつ適応の理解が深まることを期待しています。また、国や県が実施する研究データも積極的に活かし、我々は地域の実働部隊として役割を担っていければと思います。

気候変動対策局の活動内容について教えてください。

黄木局長:昨今の異常気象や新型コロナウィルス感染症拡大を経験し、本市では「持続可能なまち那須塩原市」の構築を目指しています。その一環として、当局では「那須野が原グリーンプロジェクト」を掲げています。具体的には4つの取組があります。①地域の再生可能エネルギーの地域での活用、②施設、設備の省エネルギー化、③気候変動影響への適応、④分野横断的事項です。特に③気候変動影響への適応では、農業や観光業、教育、防災、市民生活といった対象分野で情報収集を行う予定です。防災ではインフラの維持管理が重要ですが、人口減少や予算縮小といった課題も多いです。そこで生態系を活用した適応策(EbA)についても調査を検討しているところです。暑熱対策では、環境省が提供している熱中症予防情報を活用しています。熱中症予防情報を参照し、暑さ指数(WBGT)が31℃以上になると予測される日の朝及び実際に暑さ指数が31℃となったとき、本市のメール配信サービスである「みるメール」により、熱中症について注意を喚起するメールを配信します。メールの配信があったときは、例えば、小中学校であれば教育部といったように、関係部局から暑熱対策を促すこととしています。

相楽主幹:本市では昨年度に那須塩原市気候変動適応計画を策定し、今年度は温暖化対策実行計画を改定する予定です。そこにブラッシュアップした適応策を組み込みたいと考えています。

田端主査:計画策定はゴールではなくスタートだと思っています。本計画では対策を進めるべき分野として、17の小項目を設けました。環境省の地域気候変動適応計画策定マニュアルやA-PLATも参考にしました。WebGISに掲載されるS-8や気象庁第9巻のデータ等も積極的に掲載しています。今後も原課との検証を行い、その拠り所として計画を充実させていきたいです。

黄木局長:市民や庁内各課を動かすためには、5年先などの近い将来予測があれば有効だと思います。また、各地域の河川の氾濫リスクなど、災害予測に関するデータもあればぜひ提供いただきたいです。

今後の展望についてお伺いできますでしょうか。

亀井政策審議監:適応は目的ではなく手段です。それによって市民が今も将来も幸せに暮らせるまちづくりに貢献していきたいです。

相楽主幹:市民が抱える様々な課題を適応によって解決していきたいです。

黄木局長:「ここに住んでいれば生き延びられる」まちを作っていきたいです。ひとつでもいいので適応策を具体的に示して、市民が適応していけると良いなと思います。私自身は環境行政に長年携わっておりますが、他職員は教育部やコロナ対策から異動したばかりの担当もいます。行政職は異動も多く、担当者のレベルに適した気候変動に関する資料等があれば有効だと思います。また、センター運営はトップの強い意向だけでなく、実働する職員のやる気も非常に重要です。今後市町でセンター設置を検討されている方がいれば、ぜひ挑戦してみることをお勧めします。

田端主査:気候変動による影響に対して、全て一度に対応しなければならないわけではありません。本市で優先的に対応すべき項目を整理し、誰がいつ何をすればいいのかを具体的に提案できればと思います。

吉田主査:主に緩和を担当していますが、世界的な問題に対して地域で関わることができる分野だと感じています。我々に出来ることをしっかりと努めていきたいです。

岡野主任:気候変動はただの環境問題ではなく、様々な分野に関連していると思います。地域の方々の安心・安全な暮らし、幸せな未来に繋がるよう取り組みたいです。

この記事は2020年8月6日の取材に基づいて書いています。
(2020年10月1日掲載)

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