水害に強く、被災後も住み続けられる防災配慮型賃貸住宅

大東建託株式会社

業種:建設業

掲載日 2023年6月6日
適応分野 自然災害・沿岸域 / 国民生活・都市生活

会社概要

大東建託株式会社は、1974年に賃貸建物の建設を目的に設立された。限りある大地の最有効利用を広範囲に想像し、実践して社会に貢献する」という企業理念のもと、現在は大東建託グループとして建物賃貸事業の企画・建築、不動産の仲介・管理、およびガス供給などの関連事業を行っている。

気候変動による影響

近年、気候変動による激しい雨や、河川の氾濫などによる水害が頻発している。当社の管理物件における令和元年台風19号・20号による被災割合では、床上浸水(地面から50cm~1m)の被害が61.6%であった。浸水後は土砂などの撤去だけでなく、汚水に含まれた細菌カビや悪臭が発生するため、伝染病などを防ぐためにも、家具の買い替えや消毒等、衛生面でのメンテナンスが必要となる。

適応に関する取り組み

当社は、大東建託グループによる防災プロジェクト“防災と暮らし研究室「ぼ・く・ラボ」(注1)” の取組の一環として、水害対策に特化した防災配慮型賃貸住宅「niimo(ニーモ)」を開発した(注2)。

「niimo(ニーモ)」は、日常生活がそのまま非常時の備えになるという「フェーズフリー」(注3)をコンセプトにした住宅であり、被災直後や復旧作業時でも入居者が自宅での生活を継続できるよう設計されている(図1―図5)。具体的には以下の特徴を有する。

  • 1階は、浸水した場合でも早期復旧が比較的容易な打ち放しコンクリート仕上げ(注4)
  • 浸水の可能性が極めて低い2階・3階を木造2×4工法とし、居住空間を集約
  • 階段室は3層にわたる吹き抜け。重力換気により風が通り抜ける空間を設けることで、水害時に湿気を帯びた建物を早期に乾燥させることが可能
  • 水害時における水没による破損を回避できるような配慮(1階のコンセントを天井付近の高い位置に配置、エアコンの室外機は2階以上に設置)

効果/期待される効果等

被災直後や復旧作業時でも入居者が自宅での生活を継続できるような設計によって、被災直後の避難生活や中長期的な「水害リスク」を理由とした住居移転などに伴う身体的・精神的・物理的な負担の軽減が期待される。 また、「フェーズフリー」をコンセプトに開発をした本商品は、さまざまな工夫や備えが平常時だけでなく非常時にも役立つため、あらゆる状況において生活の質(QOL)を上げることができる。

水害対策に特化した「niimo(ニーモ)」の特長1
図1 水害対策に特化した「niimo(ニーモ)」の特長1
水害対策に特化した「niimo(ニーモ)」の特長2
図2 水害対策に特化した「niimo(ニーモ)」の特長2
水害対策に特化した「niimo(ニーモ)」の特長3
図3 水害対策に特化した「niimo(ニーモ)」の特長3
水害対策に特化した「niimo(ニーモ)」の特長4
図4 水害対策に特化した「niimo(ニーモ)」の特長4

図5 供えない防災を考えた水害に強い住まい(動画)

脚注
(注1)ぼ・く・ラボ防災と暮らし研究室
(注2) 「niimo(ニーモ)」は一般社団法人サステナブル経営推進機構主催第5回エコプロアワードにおいて、気候変動による影響に備える「適応」の観点で開発されている点も高く評価され優秀賞を受賞した。
(注3) 日々の暮らしのなかで災害への備えを無理なく取り入れることが重要であるという考え。
(注4) タイルなどの仕上げを省き、型枠を外した状態のむき出しのコンクリートを仕上げとする手法。

出典・関連情報

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