7-3. 適応策の例(自然生態系分野)

ブナへの適応策の例

  • 白神山地世界遺産センターでは、世界遺産地域の長期にわたる自然環境の変化を把握するため、モニタリング調査研究を毎年継続して行っています。
  • 近年では、空中からのレーザー計測技術や人工衛星画像などを応用して広域的に森林構造および動態を解明する調査研究を行ったほか、定点カメラによるフェノロジー※調査を実施しています。
定点カメラによるフェノロジー調査
出典
環境省

※フェノロジー(Phenology)とは、生物季節(学)と訳され、季節の移り変わりに伴う動植物の行動や状態の変化を研究する学問のことを示します。植物の場合では、発芽、開芽(芽ぶき)、開花、紅葉、落葉などの変化と気象条件とは密接な関わりがあるといわれています。

森林によるCO2の吸収は森林植生の光合成活動によって行われます。それゆえにCO2の吸収量の変化は森林植生のフェノロジーと密接な関係を持ちます。微気象学的な手法で観測された森林全体の炭素収支に対して、森林生態系の寄与を理解するためには、森林を構成している植生のフェノロジーを観察することが非常に重要であると言うことができます。

出典
国立環境研究所「定点カメラによる森林フェノロジー観測