適応における地域の重要性
国土が南北に長い日本では、気候変動の影響がいつごろ、どのように、どの程度現れるか、またその影響に対してどのような対策が必要になるかは地域によって大きく異なります。
そのため、日本各地それぞれの地形や産業、人口などの地域特性を考慮しながら適応策を推進していくことが重要になります。
こうした中で、特に地方公共団体が果たす役割は大きなものです。また、気候変動適応法においても、地方公共団体が重要な役割を担い、その区域における適応の推進に努めるとともに、その区域において活動する事業者等の適応を情報面から促進するよう努めることが責務とされています。
地方公共団体の役割
地方公共団体は、地域気候変動適応計画を策定し、関係部局と連携して関連する施策に積極的に気候変動適応を組み込み、各分野における気候変動適応に関する施策を推進することとされています。
あわせて、地域気候変動適応センターなど、適応の情報収集・提供等を行う拠点を確保し、広域協議会を組織して国と地方公共団体等が連携して地域における適応策を推進することなどが求められています。
また、地方公共団体自身が適応策に取り組むだけでなく、地域の事業者による適応の取組を支援しています。
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地域気候変動適応計画
地域気候変動適応計画とは、都道府県や市区町村等が主体となって、その区域における自然的、経済的、社会的状況に応じた気候変動適応に関する施策を推進するための計画を指します。
地域気候変動適応センター
地域気候変動適応センターは、地域における気候変動影響及び気候変動適応に関する情報の収集、整理、分析及び提供並びに技術的助言を行う拠点です。
地方公共団体による取組
地方公共団体では、こうした役割を果たすため、地域気候変動適応計画の策定及び地域気候変動適応センターの設置、地域内のデータの収集・分析、普及啓発、事業者支援など、さまざまな取組をしています。
地域気候変動適応計画は、すべての都道府県および250以上の市区町村ですでに策定されていて、計画に基づく施策が推進されています。また、地域気候変動適応センターについても、すでに全国60以上の地方公共団体で設置され、適応の拠点として機能しています(ともに2024年5月現在)。
具体的に地域で進められる適応策は多岐に渡り、例えば、農林水産業における高温に強い耐性を持つ農産物の品種開発や、甚大化する河川・内水氾濫に備えた浸水リスクマップ作成、都心部でのビル緑化などさまざまです。
ここでは、イメージしやすい熱中症対策に関する事例の一つとして、神奈川県気候変動センターが取り組んでいる県民参加型「かながわ暑さ調べ」をピックアップして紹介します。
神奈川県気候変動適応センター「かながわ暑さ調べ」
他の都道府県と同様、神奈川県では近年熱中症の搬送者数が増加しています。そこで、神奈川県気候変動適応センターでは、特に暑熱に着目した取組を進めています。その中で、県民自身に自分が住む町の暑さ指数を測ってもらうことによって、気候変動を身近に感じてもらえるのではないか、という発想から「かながわ暑さ調べ」というユニークな取組を実施しています。
これは、暑さ指数計を配布し、8月の1カ月間、指定日に屋外で測定をお願いするというもの。2021年度は暑さ指数計を100台用意して募集をかけたところ、262人の応募があったため、2022年度は200台に増やしたそうです。また、参加者のアンケート結果から、約3割が昨年よりしっかり熱中症予防に取り組むようになり、また暑さ指数について学ぶことができた、といったことが明らかになりました。
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インフォグラフィック
7分野の代表的な項目の適応策について、「影響の要因⇒現在の状況と将来予測⇒適応策」の関係性を示し、更に適応策は一目で分かる様に体系的に整理しました。適応策への理解や各地域での検討にご活用下さい。