COP1年生が見たCOP26@グラスゴー

※このページは全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)記事の転載です。JCCCAから許可をいただき掲載しています。

私は気候変動影響および適応を専門にしている研究者です。というとCOPなどは何回も行ったことがあるのではないかと思われるかもしれませんが、全くそうではありません。今回のCOP26が初参加になります。そうです、ピッカピカの1年生です。
そもそもCOPには一生行くことはないと思っていました。というのもCOPは政府間交渉の場という認識であり、国際交渉などを専門としない私のような研究者の行くようなところではないと思っていました。そんな私がなぜCOPに行くことになったか、と申しますと、私が所属する国立環境研究所の気候変動適応センターで開発してきたアジア太平洋気候変動適応情報プラットフォーム(通称AP-PLAT(1))と呼ばれるウェブサイトページのリニューアルにあたり、COPでお披露目も兼ねてセミナーを実施しようということになったからです。まったく知らなかったのですが、COPでは政府間交渉と並行して数多くの展示やサイドイベントが行われていたのです。
本稿ではそんなCOP初心者1年生の私から見たCOP26@グラスゴーについてお話できればと思います。今回のCOPでどんなことが話し合われ、交渉・合意に至っているかという話はこちらのサイト内の別の項目を確認していただくこととして、本稿では、少しでもCOP26@グラスゴーの雰囲気を伝えることができればと思います。

まず会場はイギリス・スコットランドのグラスゴーにある展示貿易センター「Scottish Event Campus(以下、SEC)」というところで行われました。SECはいくつかの建物から構成されていますが、そのうちの一つの大きなダンゴムシのような建物が特徴的です。下の写真の奥の方に見える建物がそれです。ちなみにこの写真は朝。会場に入る参加者の長い列になります。空港と同じようなセキュリティーチェックがあるため、これだけ多くの人が入ろうとすると長い列になるのも無理はありません。結局、1時間ぐらい掛かって中に入ることできました。みんな面白がってこの長い列の写真を撮っています。

会場に入る参加者の長い列

会場の中では、朝から夕方まで本当にたくさんの展示やイベント・セミナーが開催されています。すべて周るには1週間でも足りなくて、2週間かかると思います。だからCOPは2週間あるのでしょうか。会場の中には、なんとバーも設置されています。交渉の疲れを癒したり、イベント・セミナーの成功を祝うのにはもってこいですね。

会場内のバー

SECには円形の天井の高い会場があり、そこの中央部には天井から吊るされた美しい青い地球が光っていました。ここにはテレビ局のスタジオがそのまま飛び出してきたような場所もあり、大きなカメラでインタービューなども行われていました。

美しい青い地球が輝くSEC内のスペース

インタビューなども行われていたSEC内のスペース

会場内には広い机と椅子があって複数人で議論できるようなスペースや、1人で集中して仕事をするスペースなども用意されています。みんな何やら仕事をしていますね。会場ではFree Wi-Fiが提供されていて、メールのやりとりなどは問題なくできました。

会場内のスペース

会場内の個人スペース

パビリオンスペースでは、日本を含めた各国や機関の展示やセミナーがあちこちで同時に行われて、それを見に来ている人でごった返しています。

パビリオンスペース

パビリオンスペース

たくさん立ち並ぶパビリオンスペース

我が日本のパビリオンはこんな感じです。青を基調とした日本らしいデザインがいいですね。なんと2階建ての構造で、1階が企業などの展示、2階がセミナースペースとなっています。私も2階のセミナースペースでセミナーを開催させていただきました。場所はパビリオンスペースの入り口に一番近い一等地にありました。
11月2日には世界首脳会議(World Leaders Summit)に訪れていた岸田首相がJapanパビリオンを訪れたそうですが、私はニアミスでお目にかかることはできませんでした。残念。。。コーヒーなども無料で提供されていて、私も毎日いただきました。

日本パビリオンスペース

日本パビリオンスペース

私が行ったセミナーの様子は以下です。zoomで開催し、YouTubeでもライブ配信しました(2)。現地のグラスゴーで参加したのは司会者の私と、議論パートの進行(モデレーター)を務めるアジア太平洋地球変動ネットワーク(APN)のLinda Stevensonさんです。その他の登壇者は、オランダ・タイ・サモア・日本と世界各国からオンラインで参加しました。途中、ミュートが解除されていなかったり等のトラブルもありましたが、概ね良い議論ができたと思っています。

ボディウム(演台)で話しているのが私です

マイクを持っているのがモデレーター(進行)のLindaさんです

COPの雰囲気は少しでも伝わりましたでしょうか?本当はCOPでの議論や交渉の動きといった地球温暖化対策に関わる一番重要な内容の部分も皆様にお伝えしたかったのですが、今回は主催するセミナーの準備・実施に集中させていただきました。おかげさまでセミナーは成功裡に終えることができましたが、他のセミナーやイベントにはほとんど足を運ぶことができなかったのは少し心残りです。次回もし行かせていただくようなことがあれば、COP2年生として温暖化に関する最新の世界の動きなどもご報告できればと思います。
最後になりますが、今回、全国地球温暖化防止活動推進センターのウェブサイトでレポートを書かせていただく機会をいただけたことに感謝申し上げます。以下、もしご興味ある方は街の様子などについて書いた番外編もお読み頂ければと思います。

国立環境研究所 気候変動適応センター アジア太平洋気候変動適応研究室 室長
増冨 祐司

番外編はこちらから】

(1):Asia-Pacific Climate Change Adaptation Information Platform
(2):ライブ映像は後日、環境省のYouTubeチャンネルで保存(アーカイブ)及び配信される予定です。

(2021年11月19日掲載)