気候変動による影響
江戸川区は川と海に囲まれ、陸域の約7割がゼロメートル地帯であり、大規模な水害が発生した場合は、多くの地域で長期間浸水が継続する恐れがあります。江東5区(注1)では2週間以上水が引かないエリアに100万人が居住しています。国の試算では、大規模水害時に1日に救助できる人数を2万人(注2)と見込んでいるため、区内にとどまる人が多ければ多いほど救助に時間を要します。
掲載日 | 2022年3月18日 |
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分野 | 自然災害・沿岸域 |
地域名 | 関東(東京都) |
江戸川区は川と海に囲まれ、陸域の約7割がゼロメートル地帯であり、大規模な水害が発生した場合は、多くの地域で長期間浸水が継続する恐れがあります。江東5区(注1)では2週間以上水が引かないエリアに100万人が居住しています。国の試算では、大規模水害時に1日に救助できる人数を2万人(注2)と見込んでいるため、区内にとどまる人が多ければ多いほど救助に時間を要します。
江戸川区では、大規模水害時には、浸水が想定されない区外への広域避難(分散避難(注2))を推奨しています(図1)。広域避難先は、事前に確保することが重要で、その候補としては、区外の親戚・知人宅のほか、行政が用意した公的な広域避難先(注3)などが考えられます。しかし、公的な広域避難先には避難できる人数に限りがあり、親戚や知人などに頼ることが難しい場合もあることから、自身でホテル等の予約を行い、宿泊施設に避難することも有効な手段です。広域避難を行う場合は、台風であれば、予報円の外になる地域を推奨しています(図2)。
また、江戸川区は広域避難を促進するために「江戸川区大規模水害時自主的広域避難補助金」を創設しました。これは、江東5区が「広域避難情報」を共同で発令した場合に、江戸川区民がホテルや旅館などの宿泊施設を自主的広域避難先として確保するための経費の一部を補助する制度です。1人最大9,000円(1泊3,000円、3泊まで)とする補助金の申請が可能です(図3)。
さらに、江戸川区は、旅行会社やホテル・旅館団体と「大規模水害時における住民の自主的広域避難場所の確保支援に関する基本協定」を締結しました。区のホームページには、宿泊先情報のリンク先の他、ホテルを選択する際のポイント等が掲載されています(図4)。
「江戸川区大規模水害時自主的広域避難補助金」制度により、非浸水地域への自主的な広域避難が促進されることが期待されています。
また、平常時から広域避難(分散避難)の避難先を準備することにより、大規模水害発生時に区内にとどまるリスクを回避し、避難所における感染症被害を防ぐことも期待されます。
図1 動画:大規模水害時の自主的広域避難 いのちを守るために 早めの避難を ②わが家の広域避難計画
(出典:江戸川区ウェブページ 「防災~防災情報を動画で見る~」)
図2 広域避難先イメージ
(出典:江戸川区ウェブページ 「大規模水害時の自主的広域避難(分散避難)について」)
図3 広域避難に伴う補助金交付の流れ
(出典:江戸川区ウェブページ 「大規模水害時の自主的広域避難(分散避難)について」)
図4 ホテル選択のポイント
(出典:江戸川区ウェブページ 「大規模水害時の自主的広域避難(分散避難)について」)
脚注
(注1)江東5区:墨田区・江東区・足立区・葛飾区、江戸川区
(注2)内閣府 中央防災会議 防災対策実行会議 洪水・高潮氾濫からの大規模・広域避難検討ワーキンググループによる「洪水・高潮氾濫からの大規模・広域避難に関する基本的な考え方と定量的な算出方法及び江東5区における具体的な検討(概要版)平成30年3月」に基づき江戸川区にて試算。
(注3)国と東京都で「首都圏における大規模水害広域避難検討会」を設置し、分析検討を行っている。(内閣府ウェブページ:http://www.bousai.go.jp/fusuigai/suigaiworking/suigaiworking.html)