研究試料の米を採取するため稲刈りを行いました

開催日 2020年8月28日、8月31日、9月8日、9月14日、9月23日
開催地 茨城県/つくば市

2020年8月28・31日と9月8・14・23日、当センターの職員がつくば市内の田んぼ(以下、圃場)で稲刈りを行いました。この活動は当センターの増冨主任研究員が行っている地球温暖化の米への影響と適応策の評価研究の一環で(研究内容に関するインタビュー記事はこちら)、圃場ごとの土の中の温度(地温)や用水の深さ(水位)をモニタリングするために設置した水温計を回収し、研究試料となる米を採取するということで、当センターの根本、大山、宮塚(ともに気候変動適応推進専門員)が同行しました。


稲刈りを行った茨城県つくば市内の圃場(田んぼ)(撮影:当センター宮塚)

稲刈り初日。この日は、本A-PLATウェブサイトに掲載する国内各地域における適応の取組のイメージ素材を集めるべく、当センターの根本・大山がプロのカメラマンと共に稲刈り作業の様子を撮影しました。少しでも臨場感のある写真を説明するために、地元の農家さん、増冨主任研究員、茨城大学での教え子で修士課程の川村さんには、暑い中、色々な場所でポージングに対応いただきました。本当にありがとうございました。余談ですが、隣の圃場では、大量の米がコンバインであっという間に刈り取られていて、文明の利器のすごさを感じました。


撮影の1場面 (撮影:カメラマン藤)

稲刈り2日目。残暑厳しいこの日は、車で9か所の圃場をまわり稲刈りを進めます。この日は増富主任研究員と河田さん(通称かわっち)、そして当センターの宮塚が稲刈りに初挑戦しました。

目印を立てた圃場に到着したら作業のスタンバイ。前日までの風雨で稲が倒れていたり土がぬかるんでいたりしたため、田んぼ用の長靴(田靴)を持ってきた河田さんが大活躍しました。それでもぬかるみに足をとられつつ、倒れた稲を起こしながら水位計を設置した田んぼの中心付近まで歩いて行くのは思った以上に一苦労でした。また、周辺に木陰はなく、強い日差しの下でたくさん汗をかいては水を飲むの繰り返しで、体力が求められる作業なのだと知りました。

水位計を引き抜いたら、そのすぐ周囲の稲8株を鎌で刈ります。サクサクといい音をたてて刈った稲は、他の圃場の稲と混同しないよう、すぐに束にまとめて印をつけていきます。単純な作業ではありますが、研究に用いるデータを取る上では試料をしっかり管理することが一番大事だという増冨主任研究員の言葉が印象的でした。(以下の写真撮影:当センター宮塚)


水温計の周囲の稲を刈ります


刈った稲は他の稲と区別するためすぐに束ねます


脱穀するまで3日間ほど乾燥させます


作業を終えて笑顔

刈り終えた稲を脱穀するまで3日間ほど乾燥させる必要があるとのことで、つくば地域農業改良普及センターの試料乾燥室を訪れ、稲を柵に立てかけるところまでがこの日の作業でした。後日、乾いた稲を脱穀・籾摺りした後、お米を穀粒判別器にかけて圃場ごとの米の品質を検査するのだそうです。

全国的に高温による米(水稲)の品質低下がみられるなど、温暖化の影響は現実のものになっています。その要因と現場レベルの対策を探っていく本研究を稲刈りを通じて垣間見れたことは貴重な体験でした。「もともとはコンピューターを使ったシミュレーション研究が専門でした。今もその研究は実施していますが、同時に影響を軽減するための具体的な対策に関する現場レベルの研究が重要だと感じています。動ける間は田んぼに入り続けたいと思います。」(増冨主任研究員)

(2020年9月29日掲載)

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