水中機械式曝気撹拌装置による安定した水処理の実現
阪神動力機械株式会社
業種:製造業
掲載日 | 2023年9月21日 |
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適応分野 | 水環境・水資源 / 産業・経済活動 |
会社概要
阪神動力機械株式会社は、歯車減速機・河川施設用機器、水処理設備用機器、産業設備用機器の製造・販売会社である。日本で培った水中機械式曝気撹拌技術により、高効率且つ安定した水処理を実現する。特に、気候変動の影響が深刻な途上国等において同技術を導入することにより、水資源の確保や水の安定供給はもちろん、地域の生活環境や保健・衛生分野の改善をサポートする。
気候変動による影響
気候変動の影響による砂漠化の拡大や旱魃等による水資源の枯渇は、世界的に深刻な問題であり、途上国を中心に水処理技術の需要が増加傾向にある。水資源不足への対策として、上水のみではなく、下水を処理した再生水である「中水」(注)の利用が求められ、その水処理においては設備の安定性が重要である。
適応に関する取り組み
当社は、安定的に水処理が行われるよう水中機械式曝気撹拌装置「アクアレータ®」(図1)の積極的な国際展開を進めている。 本製品は、曝気と撹拌を効率的・効果的に行うことが可能であり、好気性微生物の活動を活発化させる効果を持つ。また好気槽・嫌気槽のどちらにも適用可能である。曝気では、ブロワから供給された空気が自社独自の構造により微細化され、反応槽の隅々にまで気泡混合溶液が行き渡るようになっている(図2)。
本製品の特徴は以下の通りである。
- 酸素溶解効率が高く、エネルギー効率が高い(既存散気装置からアクアレータ®に更新することにより最大30%の省エネルギーを実現)
- 汚泥を良好に維持し、槽底に汚泥が堆積しないため、処理が安定する
- メンテナンスを頻繁にする必要がなく、水槽の汚泥を除去して清掃する必要がない
■導入事例
本製品の海外における導入事例を紹介する。
①事業内容:パームオイル工場における排水処理高度化・資源循環利用(国名:マレーシア)
本件は、JICA中小企業海外展開支援事業~普及・実証事業~等を活用した事例である。現地の課題として、主要産業の一つであるパームオイル工場排水の放流基準の強化方針(BOD上限値20mg/L)がある中、低コストで安定処理するための技術が不足していた。そこで、従来法より処理能力の高い、アクアレータ®をコアとする活性汚泥法の導入を行い、放流基準であるBOD上限値20mg/Lを達成した。
②事業内容:ゴム手袋製造工場、及びタイの水産養殖施設等における取組(国名:マレーシア)
本件は、平成29年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(途上国向け低炭素技術イノベーション創出事業)、及び平成30年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(途上国向け低炭素技術イノベーション創出事業)を活用し、「ASEAN地域における廃水処理システム用省エネルギー水中曝気撹拌装置の開発」を実施した事例である。自社製品の性能向上(酸素移動性能(空気供給機能)の改良)、製品の長寿命化(モーターベアリングの改良およびモータークーリング機構の開発)、製品の安定使用(異物巻込防止機構の開発)を検討した。
効果/期待される効果等
アクアレータ®は、水処理コストの大幅な削減を可能とする。また、高い排水処理能力の実現と、現地での設備の性能向上・開発により、水資源の枯渇が懸念される地域における運用を可能とし、水資源の確保や水の安定供給に貢献することが期待される。
脚注
(注)排水を処理して雑用水に利用すること。水処理方式としては、生物による分解がメインのもの、膜によるろ過をメインとしたもの、そしてそれぞれを組み合わせたものなどがある。
出典・関連情報