インタビュー適応策Vol.39

省エネを目指しながら、働く人を暑さから守る屋根向け遮熱製品『ルーフシェード』

取材日 2022/7/21
対象(敬称略) 有限会社石川テント 代表取締役 石川 浩

石川テントは1950年に、愛媛県四国中央市で創業(設立が1989年)しました。もともとは、テント技術を使って商店や店舗の庇に雨避けや日除けなどを設置するのが主な業務でしたが、この地域は古くから製紙工場や紙加工品に関わる工場が多く、近年は幕材を使った防虫・防塵対策の依頼も増えていたところです。作業環境を整える流れで、近年の気候変動による夏の暑さ対策や省エネを含めたニーズが高まったことから、屋根向け遮熱製品『ルーフシェード』の開発に至りました。現在は『ルーフシェード』を主力商品として、工場や倉庫、店舗に導入していただいています。

もとは弊社が営んでいたうどん屋の夏場の使用電力量が異常に多く、それをなんとか削減したい、と思ったのが始まりです。それ以前にプレハブ店舗をお持ちのお客さまからも「かなり涼しくなるので屋根の上にテントを張ってほしい」という要望があり、テントを張るより簡単に屋根の上に日陰を作れないか、と思ったこともきっかけになりました。最初は屋根の上にすだれを並べてみたのですが、それだけでもかなり違ったんです。そこで、これは効果があるなと思いました。すだれは風が吹いたら飛んでしまうし、ワンシーズンでボロボロになるので、強度を保てる方法を思案していたら、細い幅のシートで風の抜け道を作る、という方法を思いついたんです。

近年は夏場の気温上昇により、飲食店やコンビニエンスストア、倉庫、工場の室温がかなり高い状態にあることが問題になっています。工場内で作業中の人が熱中症になったり、倉庫でお客さまから預かった大事な荷物を変質させてしまったりと、責任問題にもなりかねない事態が頻出しているというのです。空調設備で強制的に冷やすという方法もありますが、電気料金も高騰しており、各社で省エネルギーへの工夫が求められている状況です。

遮熱商品「ルーフシェード」の特徴

ルーフシェードは白い細幅のルーフスクリーンというメッシュシートと、それを圧着するシェードグリッパーという、ふたつの部品だけで構成されています。主に工場や倉庫などの大型建築物に用いられる、金属製の『折板屋根』専用の遮熱商品です。
鉄板でできた折板屋根は、夏場、高温になりがちです。一番熱いときで、約80度の熱を持つといわれているのですが、そうなると当然屋内の温度も上がり、冷房効率が下がったり、作業員の健康が損なわれたりする恐れがあります。
設置方法は、折板屋根をルーフスクリーンで覆い、シェードグリッパーで圧着して固定するだけ。細幅のシートをジグザグに固定していくことで、上から見ると完全に遮光され、なおかつ横から覗くと三角の隙間ができているのがわかります。この隙間を作ることで屋根の風通しを良くし、中の熱だまりを防ぐという仕組みです。

実際に弊社の工場でも測定したところ、日向の部分と日陰の部分で表面温度に最大26℃の差がありました。表面で26℃下がると、室温でも4℃から5℃の低減が望まれ、作業効率や倉庫内の荷物の変質防止に役立ちます。

また、お客さまからの質問で多いのが、強度の問題です。主に台風、積雪、ゲリラ豪雨についての心配が多いのですが、ルーフシェードは2018年に関西・四国地方を襲った台風21号や、2020年の新潟県長岡市における1.4mの積雪といった厳しい環境にも耐えたという実績があります。ゲリラ豪雨は鉄板屋根に降り注ぐと雨音が非常に大きく、事務作業中に会話ができないという問題もありますが、ルーフシェードには雨音の軽減効果もあるうえ、シートで屋根を覆うことで表面の保護にもつながっています。

近年ガスや原油、電力も高騰していることから問い合わせが多く、展示会でも注目されていると感じます。基本的に張り替え時期までメンテナンスは不要で、急な破れなどに対応するだけで大丈夫というところにも導入しやすさを感じていただけているようです。また、貸し倉庫や貸店舗などでは退去の際に原状回復を求められることから、ペンキや屋根の工事などとは違ってシートを外すだけで元に戻せるという手軽さもあります。

遮熱塗料との違い

遮熱塗料のなかで一般的に使われているのは高反射塗料ですが、表面が数年経って汚れてくると、高反射の役割が失われてしまいます。ルーフシェードは多少表面が汚れても、陰を作るシェードの部分がなくならない限り、高い初期効果が続くのが特徴です。
そのほかにも屋根を二重にして中に断熱材を挟む『二重折板』という断熱工法もありますが、これは特に重量の問題があり、荷重に耐えられない設計の建物もあります。ルーフシェードは1平米あたり1.2kgと軽量なので、建物に負担を掛けません。
また二重折板は断熱工法なので、屋根と屋根の間の断熱材に蓄熱されてしまうというデメリットもあります。外からの熱伝導を遅らせますが、一旦蓄えられた熱は夕方から夜にかけて涼しくなる時間帯も保たれたままになってしまいます。また熱発生源が建物内にある場合、断熱をするほど熱が室内に籠ってしまい室温の上昇を招きます。断熱と遮熱の違いを認識して使い分けていただくことが大切です。

また先ほど申し上げた通り、ルーフシェードの構成部品はルーフスクリーンとシェードグリッパーの2点のみです。スクリーンを折板屋根に置いて、頭頂部(ハゼ)をグリッパーで圧着して固定させるだけの簡素な工事ですので、二重折板のように大きな重機や足場なども必要なく、費用全体を抑えることができます。この作業を1m置きに連続して続けていくのですが、職人ひとりが一日かけて約150平米の工事を完了させることも可能ですので、たとえば工場がお休みの日に短期で現場作業を終了させられるなどのメリットもあります。

今後に向けて

いまはシェードの色は白一色ですが、表裏の色の組み合わせで遮熱効果が上がる可能性に着目し、裏を黒のスプレーで塗って実際に温度比較をしてみたところ、現状のものから3℃ほど遮熱効果が高まりました。今後は色を工夫することで、さらに効果の高いものを作っていけたらと思っています。また現在の耐久年数は10〜15年ですが、ルーフシェードも建材であるという意識を持ち、少しでも強く、少しでも長持ちするものを作っていきたいです。

これまでは瀬戸内地域や東海地域などの太平洋沿岸、九州地方などで特にご愛用いただいていたのですが、積雪地域にも対応できるということで、今後は日本海側などの雪の心配の多いエリアにも積極的にご利用いただければと思っております。積雪地域は冬場のエネルギー使用量が非常に多いのですが、この商品は屋根に雪を積むことで雪室(かまくら)効果も生まれ、寒さからの断熱のお手伝いもできるのです。あとは東南アジアなどの暑い国では年間を通してお役に立てると思いますので、海外にもPRしていきたいです。

JR新宿駅でも活躍

これまで幕材を使った防虫対策や防塵対策など、作業環境を整える仕事をしてきましたが、ルーフシェードが誕生して、地球温暖化や節電などにも貢献できるようになったことは大きなやりがいです。今後も日本はもちろん、ルーフシェードを世界にも広めていって、暑い環境で仕事をされる人の環境改善や省エネに少しでも役立てばと思っています。

この記事は2022年7月21日の取材に基づいています。
(2022年11月17日掲載)

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